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11 posts categorized "ビデオアート/8mm"

December 04, 2011

そして船は行く

この間、朝の通勤電車で珍しく座っていたのだが、長い同じ座席の端に座っていた男性に、何やら若い女性が話しかけている。聞くともなく聞いていると、気分が悪いので席を替って貰えますか、と言っているのだった。男性は最初その意が呑み込めないようだったが、漸く理解して一瞬逡巡する素振りをみせたが席を譲った。
この一瞬の逡巡について考えたが、多分こういうことだろうと思う。つまり、気分が悪いのだから譲るのは当然としても、しかしもし自分ならば次の駅で降り、ホームのベンチで休むことを選択するだろうと。次の駅まで座らせてください、というのか、それとも替ったままなのか、そう本当に思ったのかどうかは分からないが、この辺りはかなり難しい。気分が悪いがどうしても遅れることができないこともあるだろうし、他人を退かしてまで時間に間に合わせるのならば次の駅で礼を言って降りるのが正解なのかも知れない。いや、降りるまでもないような具合だったらこれで良いのか、なかなかに難しい問題なのだった。思うに、譲ってもらう方も、譲る方もそれぞれ思いやりがあればそれで良いということだろうと思う。そう思いながら当事者でない自分は呑気に寝てしまったのでその後の結末は分からないが。それともいや、自分が替りますと手を挙げれば良かったのか。

* * *

ロモグラフィーから出ているLomoKinoが面白そう。35㎜、手回しの超アナログ動画撮影カメラだ。
http://japan.shop.lomography.com/lomokino

35mmのポジフィルムを手回しで撮影する仕組み。最も原始的な映画撮影の仕組みそのものだ。
ネガから紙焼きしてパラパラマンガのように見ても動くだろう。YOU TUBEやVIMEOに動画が上がっているのだが、ロモロモしてて(笑)結構いい感じだ。
しかしどうせなら8㎜の手回しでやってほしかった。35㎜フィルムの方が入手しやすいということもあるが、Lomoが8㎜カメラを出せばフィルムはあとからついてくるとも思うのだけれど。そんな簡単じゃないか。

以前学研から8mm映写機が出たが、その際にカメラも出すかどうかを検討中ということだった。それを心待ちにしているのだけれど、FUJICHROME R25Nは平成24年3月で販売終了、富士の調布での現像も平成25年9月終了とシングル8もあと少しの命で、もう企画が通らないだろう。KODAKはとうの昔に終了しているし。(まだ製造中とのことです。訂正いたします。)

それならそれなら、16㎜ではどうなのか。ロシア製のクラスノゴルスクで予算100万円ほどを酔狂して映画を撮ってみたい。iPhoneのカメラで8㎜エフェクトとかで妥協しそうではあるが。しかししかし、フィルムで何とかお願いしますよ(誰に??)。

フェリーニ「そして船は行く」(85年)の沈みゆく船のなかで、オペラ歌手の映像を手回しで映写するシーン、あれが小生の8㎜への憧憬の原点なのだが、如何せん目覚めたのが遅かった。そしてその憧憬のまま手つかずにずるずると、脳内エア8㎜を。刻々とハードルが高くなる。

* * *

上原隆の作品だったかで、ある若者が寺に修行にゆき、その師に自分の所為ではないことで罵倒され葛藤する話があった。その後、師の言うには、これから世の中に出れば理不尽なことはいくらでも起きる。そのための修行なのだと。
大雑把にはそんな話だったと思うが、確かに世の中は混沌として理不尽極まりない。それに押しつぶされることもあるだろう。しかしこの世はアプリオリにそういうものであると。しかし、しかし。その理不尽にただのた打ち回ることしか出来ないこともある。その苦しさをどう止揚するのか。ただ思うのは、ここから見えてくることもあるのだろうと。
(写真は皇居の木々)

May 03, 2009

Stop motion、マヤ・デレン、再びブラッケージ

先日の朝の番組で、YOU TUBEで再生回数100万回を超えるコマ撮りアニメーション作品を作家とともに紹介していた。竹内泰人の「オオカミとブタ。」という作品なのだが、スチル写真をコマ撮りしてゆくというもので、なかなか斬新なのはそのスチルの内容をそれらが置かれる部屋の中と上手くリンクさせているところだろう。
http://www.youtube.com/user/dokugyunyu
それよりも、同じ作家の作品「公衆電話でぐるぐるしたかった」(上記URL)はやはりスチルをstop motionで繋いだもので独特の浮遊感覚が心地よい作品だ。

この作品を観て、伊藤高志の「Spacy」を連想した。体育館のなかで連続するstop motionの疾走感はその体育館を撮影したスチルが置かれることによってイメージが重層し二次元から三次元へと視点が目まぐるしく往復するという計算し尽くされた作品だ。伊藤高志の作品は四谷のイメージフォーラムから出ているが、10年以上前にビデオで出たものでまだ現時点でDVD化はされていないようだ。

そのまま、YOU TUBEを逍遙していたら、ブラッケージ(Stan Brakhage)やマヤ・デレン(Maya Deren)の作品が上がっていて感動した。ブラッケージの名作、「Dog Star Man」(1962)やデレンの「午後の網目」(Meshes of the Afternoon, 1943)などがその一部でも観られるとは。

In the Mirror of Maya Deren (Full) [DVD] [Import]
http://www.youtube.com/results?search_type=&search_query=Maya+Deren&aq=f

Brakhage (Full) [DVD] [Import]
http://www.youtube.com/results?search_type=&search_query=stan+brackage&aq=f

■関連エントリ
- 月球儀通信 : ウィトキン、伊藤高志、ブラッケージ
http://azusayumi.tea-nifty.com/fragment/2006/04/post_809d.html

April 17, 2008

学研から8mm映写機発売 / 『大人の科学 8ミリ映写機』

大人の科学 8ミリ映写機
大人の科学 8ミリ映写機
学研の大人の科学からなんと8mm映写機が発売される。すでにmixiなどでは早くから話題になっていたが、2008年になって8mmフィルム映写機の新製品が発売されるというのはそれがたとえおもちゃであっても朗報というほかない。しかもシングル、スーパー、ダブルまで映写でき、また簡単な編集グッズまでついているという念の入れように拍手喝采。切れ易く代替がきかない電球は使わず今時のLEDが使われているのは映写機の進化形だ。
フィルム送りは手回し。
あとは手回しかゼンマイを使ったシングルエイトカメラの発売を希求するのみ。
これももしかしたら発売されるかも知れないという噂もあって、目が離せない。
とにかく映写するフィルムがなくても小生のようにどうしても動かないジャンクのP300しかカメラがなくてもまずは買いだ。あとは何とかなる、と思う(笑)。

January 24, 2008

甲斐田祐輔 / 『砂の影』

先般エントリした映画、御法川修監督「世界は時々美しい」は全編8mmフィルムで撮影された作品だが、2008年2月2日より渋谷のユーロスペースで封切りされる映画「砂の影」もやはりその全編を8mmフィルムで撮影した作品だ。キャストは江口のりこ、ARATA、米村亮太朗、光石研、山口美也子ほか。2007年、76分。

撮影にはBEAULIEU 6008SとNIKON R10と共にスーパー8の2台が使用され、フィルムはポジではなく暗所での撮影に有利なようにラチチュードの広いネガからテレシネしているらしい。

サイトでトレイラーを見たが、やっぱり8mmの映像はいいですね。
どこかの奇特なメーカが安価なカメラを発売しないものだろうか。

■関連サイト
- 甲斐田祐輔監督作品『砂の影』公式HP
http://sunanokage.com/
- 砂の影 (撮影ブログ:はてなダイアリー)
http://d.hatena.ne.jp/sabaku_m/
8mmに興味を持ち出した小生にはこのブログは刺激的すぎる。

January 23, 2008

須田一政 / 『KINETIC SCAPE』

8mmフィルムづいている昨今、というかその割りにはまだ一コマも撮影できていない状態だけれど、それで思い出したのは、先般写真集「民謡山河」を上梓した須田一政に「KINETIC SCAPE」という8mmフィルムで撮影した動画のなかからのヒトコマをスチールで複写した作品がある。下記リンクのサイト「須田一政塾」に作品と解説があるが、

「一枚の作品は、私が二度シャッターを切った写真であり、衝動的でありながら十分に確認されたものでもある。(サイト「須田一政塾」より引用)」

という言葉を小生なりに咀嚼すれば、何かに感じて撮影した光景をさらに確認することで、そのとき自分が一体何に惹かれ、何を見ていたのかを問う行為ということだろうと思う。これは写真という行為そのものでもある。このコンセプチュアルな作品は、提示された作品は一枚のスチールでしかないが、その制作の経緯を知ることで深い意味が立ち現れるという興味深いシリーズだ。

寺山修司の主宰した劇団「天井桟敷」の専属カメラマンだった須田一政の作品には、朝日ソノラマ写真叢書の「風姿花伝」(1976年)で出会ったのだが、薄暗い旅館の一室にぽつんと布の掛けられた姿見が寂しく撮されたモノクロが印象的だった。この作品から写真家が訪れた土地の祭りを徹底的な他者の視線で綴られたイメージが連鎖する。この作品はその後何年にもわたってシリーズとして撮影されている。

また、カメラからテーマを紡ぐという方法論も印象的な作家だ。「風姿花伝」でのスクェアなフォーマットはハッセルブラッドで撮影されているが、その他ミノックスやポラロイド、リコーオートハーフやプラウベルマキナなどの、いわばカメラに触発された作品がそれぞれの持つ特性を活かして素晴らしく、ことに作品で使われることの少ないミノックスで捉えた、パンフォーカスと極度に拡大された銀塩粒子で浮かび上がる台湾基隆の街並みなど印象深い。

日本の写真家 (40) 須田一政 民謡山河

■関連サイト
- 須田一政塾
http://homepage.mac.com/sudazyuku/
- 須田一政写真展「KINETICSCAPE」
http://homepage.mac.com/sudazyuku/tenji/2006/kine2/index.htm

January 22, 2008

埋め草 / FUJICA P300 レストア中

FUJICA P300

ジャンクで買ったFUJICA P300。一応レストア中だけれどやっぱり動かすのは無理かな。
ホコリまみれで失礼しました。(埋め草エントリ)

January 20, 2008

ブロードウェイから8ミリカメラへ

休日は大抵遅く起きて午前中はネットに繋いだり掃除洗濯をしたりしてほとんどは過ごし、実質着替えて活動し始めるのが午後になってしまうのだけれど、この土日は割と早起きして時間を無駄にせずに済んだ。休みの前日はやはり夜更かししないのが休日を有効に使うコツかも知れない。

で、新宿で用事を済ませた後、久しぶりに中野で降りてブロードウェイのレコミンツで以前出た「水中、それは苦しい」のDVD「九州縦断、そして横断」の未開封品を、名前は忘れたが映画ポスターの店で大島渚「体験的戦後映像論」を買ってから2階の喫茶ピットインでお茶をして、その後、南口へ回って5差路付近のカメラ店にFujicaのP300がジャンクで出ているのを発見して即購入。これはSingle8の普及機だ。もちろんジャンクなので動かないが、分解して電気系統をいじればもしかしたら治るかもしれないとほのかな期待もあってつい買ってしまった。

家に帰り、分解してみたが目に見える断線はないもののテスターを当てて確かめると通電していない。ことによるとモーターが成仏しているかもしれないが、来週にでももう少し詳しく調べてみることにする。レンズ他は綺麗でこれで動けばしめたものだが、動かなくてもタダ同然だしカメラケースの賑やかしにはなるというものだ。

今日観た映画、井口昇「卍」(2004年)、リー・フリードランダー「Girls Play」(2004年)。

January 14, 2008

8mmフィルムの自家現像 - YOU TUBE

映画「世界はときどき美しい」のエントリでも触れた8mmフィルムの自家現像を行うワークショップの動画がYOU TUBEにアップされているのを発見した。解説によると2004年に多摩市で行われたものの記録映像らしい。講師は映像作家の末岡一郎氏。内式リバーサルフィルムをTETENALのE-6カラー反転現像液キットで現像するというものだ。撮影から現像・上映までを1日で行う様子が記録されていて非常に興味を惹かれる。
なるべく専門的な設備や道具を使用しないというスタンスで行われていることで簡単に出来そうな雰囲気もあってちょっとやってみたい気にさせる。スプールなどは使わず、現像タンクにフイルムをそれこそまるのまま入れるのは少々驚くが、ムラを防止するために水で前浴を行うというようなテクニックもあって、これは小生も35mmのスチールで現像するときは行っているが(というか最近全然やっていない)、結果としてそれでも出来てしまうのがいい。2004年といささか前の記録ではあるが結構参加者がいて8mmを継続してやっているひとがまだまだいるのは心強い。TETENALの代理店である近代インターナショナルのサイトをみると1Lで9000円ほどで、3分のフィルムを5本ほど現像するとして単価は2000円弱。自家現像するにしても現像所に出すコストと余り変わらないが、現像サービスが終了してからもやればなんとか出来るということは大きいのではないだろうか。

小生が高校の時の文化祭などでは、必ず誰かが家から8mmカメラを借りてきて映画を作っていたし、学校では教師が職員室で学校のイベントなどのフィルムをエディタで編集している風景がみられたが、今ではそれもビデオカメラに取って変わっているのだろうか。

このタイミングで8mmをやってみたくなっているのだけれど、いまからでは少々敷居が高いとは思う。
ビデオで撮影した素材をAfter Effectでフィルムシミュレートをするなどで妥協するしかないかも知れないが、どちらにしてもコストがかかるのが頭の痛いところだ。

■関連サイト
- YOU TUBE 「じかげん」
http://jp.youtube.com/results?search_query=%E3%81%98%E3%81%8B%E3%81%92%E3%82%93&search=%E6%A4%9C%E7%B4%A2
- 8mmフィルムを「自家現像」する(末岡一郎) - 8ミリ映画制作マニュアルWIKI内のコンテンツ
http://muddy8mm.howto.cx/pukiwiki/index.php?8mm%A5%D5%A5%A3%A5%EB%A5%E0%A4%F2%A1%D6%BC%AB%B2%C8%B8%BD%C1%FC%A1%D7%A4%B9%A4%EB%A1%CA%CB%F6%B2%AC%B0%EC%CF%BA%A1%CB

January 13, 2008

御法川修 / 『世界はときどき美しい』

世界はときどき美しい [DVD] 日常へのさりげない慈しみを映像スケッチ風に纏めた5つの小話からなるオムニバス。何事も起こるわけではない日常、しかしそのなかでふと迎える小さな転回点。この誰にでもあるささやかな営為に優しい眼差しを向けることの意味を詩的映像で表現した佳作だ。

キャストは松田美由紀、市川実日子、松田龍平、柄本明、浅見れいな、あがた森魚など。日頃どちらかというとアクの強い作品ばかり観ているだけに、偶にこういう作品に出会うと心が癒される思い。映像詩と謳われる作品はその殆どが独りよがりなものが多く、大抵は意味不明な気分だけの作品と相場が決まっているが、この作品は脚本がしっかりしており映像の美しさを損なっていない。

この作品は全編8mmフィルムで撮影されブローアップされている。この8mmのもつノスタルジーは独特のガンマの低い色調や拡大された銀塩粒子、コマ数の低さから来る画面の動きで作品の内容に上手く沿ったものとなった。折しも以前から8mmフィルムの動向に注目していたが、やはり衰退の一途を辿っておりもはや風前の灯だ。しかしこの8mmの持つ感覚は他では代え難いものでもある。富士フイルムは今年シングルエイトの撤退を予定していたが、ユーザの強い要望で販売と現像の終了を延長することになったらしい。

個人メディアとしての8mmは既にビデオに置き換わって久しく、記録手段という意味では当然の趨勢としても、表現手段のバリエーションの一つとしては是非残して貰いたいメディアだと思う。2007年、70分。

■関連サイト
- 世界はときどき美しい 公式サイト
http://www.sekaihatokidoki.com/

April 04, 2006

ウィトキン、伊藤高志、ブラッケージ

いっとき寒が戻ったものの今週は春らしく暖かくなって皇居の芝生で昼食に弁当を広げたい気分。というか皇居の芝生は立ち入り禁止なので多分広げない方が吉。でも楠公像の周りの芝生は入れるので昼休みに木陰で弁当アンド昼寝など楽しめる良い季節になったものだ。出来ることならそのまま2時間ほどシエスタして直帰を敢行してみたい。あれ、ズボンに芝生がついてますよ、などと言われて顔を赤らめるようなこの季節の昼寝ほど気分が良いものはない。冬に溜まった疲れが緩んで眠るほどに排出されて行くようだ。そんな昼寝のさなか中井英夫と稲垣足穂に理不尽な説教をされる夢をみた。内容は覚えていないが。しかしなんでこんな夢みたんだろう。

四谷のイメージフォーラムから出ているアートドキュメンタリー「ジョエル・ピーター・ウィトキン、消し去れぬ記憶」は随分昔に買ったビデオだが、昨日あたかもBGMのようにして見るともなくみた。ウィトキンは動物や人間の死体、奇形などをモチーフにした写真家で有名だが、4x5で撮影したネガフィルムをカミソリの刃で直接削ってプリントに独特のマチエールを醸し出すという手法を取っている。このフィルムを削るという行為でブラッケージを思い出した。彼の作品もフィルムを削り、汚し、燃やすなどした実験映画で知られるが、ネガフィルムは対象とプリントを繋ぐ不可侵の聖域という思いこみを作家というものは易々と乗り越えるものだと感心した記憶がある。

実験映画から、以前今はなき大阪梅田のシネ・ヌーヴォでみた伊藤高志「イルミネーション・ゴースト」を連想した。この作品もイメージフォーラムから出ているが、16ミリのボレックスでコマ取りをしたアナログによる超絶映像だ。デジタルではおそらく簡単にイメージを創れるのだろうが、この人力による執拗かつ計算し尽くされたイメージの連鎖は、フィルムという肌触り、コマの連鎖というアナログ的な実存から生まれたもので、それでこそ語りかけるものに力を与えている。
未見の方は一度ごらんになってください。とにかく圧倒されます。

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  • Gangs of Kabukicho.
    渡辺克巳

    097154803X
    新潮社フォトミュゼの「新宿」が絶版となっているなかで最近刊行された渡辺克巳の最新写真集。洋書。



    先般亡くなった路上の写真家、渡辺克巳の写真集。インサイダーとして夜の新宿を流した彼の生の証はその写された人々と共に永く記憶されるべき。


    ジャパン
    倉田 精二
    4106024330
    渡辺克巳とくれば倉田精二を挙げずにはいられない。日本のウィージーと言われたストリートフォトの神髄。都市の殺伐と虚像をこれほど表現した写真はない。

    にっぽん劇場写真帖
    寺山 修司・森山大道
    4106024187
    寺山と森山のコラボレーションは「あゝ、荒野」以前にもこの作品で既に成就していた。68年刊のこの作品は強烈なコントラストとイメージで時代を色濃く表現している。腰巻きの惹句「奇才ふたりが火花を散らすイメージ地獄巡り」も凄いが、天井桟敷率いる寺山へぶつける森山の渾身の「返歌」が熱い。中平卓馬がカメラを構える有名なショットもあり。これを見ずに森山は語れない。


    奈良原の写真は既に絶版になった朝日新聞社の「昭和写真全仕事」を所有しているが、トラピスト修道院に取材した「沈黙の国」「人間の土地」「消滅した時間」などパースを駆使した知的で静謐な写真は独特の美。「無国籍地」は廃墟をモチーフにした写真集。その圧倒的な画面の構成美を。

    Cui Cui
    川内 倫子
    4902943026
    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


    この間東京都写真美術館で行われた回顧展で再び植田の仕事が再評価されている。砂丘シリーズに代表されるこのモダニズムはいつまでも古びない。

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