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April 15, 2012

練炭、テレーズ、あるいは押入れの奥

untitled,Osaka

この間判決の出た木島被告に関する裁判員制度の番組を見ながら、amazonで何気なく「練炭」を検索したら、関連する語彙を提示する機能の「関連サーチ欄」に、七輪, 睡眠薬, 練炭コンロ、と出てぎょっとした。そのまま目を下に遣ると、この商品を買った人はこんな商品も買っています、というところに睡眠導入剤があってさらにぎょっとした。悪い冗談かなにかだろうと思ってこれ以上考えないことにしたが、そういう自分も時折デパスのお世話になっている。酒が飲めない体質でもあるし、常用しなければそれほど害もない(と思う)ので、何かの折には、一錠を飲んで良く寝られるのならば悪くはないと思っている。

そういえば、昔は冬、寝るときに母親が台所で巨大なそろばん玉のような練炭を熾し、アンカにして寝たものだった。練炭をガスコンロで使うための、底が網になった専用の熾し器もあった。そんなことを想いながら、以前劇場で見た映画「テレーズ」(1986年)で、テレーズのために父親が、熾した炭を長い柄の先に鍋のようなものが付いた器具に入れて、ベッドのシーツを万遍なく擦って温めるシーンがあったのを連想した。なるほど、そんなものがあるんだな、と感心した。あれなら温かいベッドで良く眠れるだろう、いかにも寒く暗い冬のヨーロッパの習慣らしいと思ったものだった。

話があらぬ方向へ行ってしまったが、その品川アンカは一晩寝ていると大抵は足で蹴り飛ばされて布団の外に出てしまっていた。ネル地のアンカカバーは小豆色だったか、それとも濃紺だったか、まだ探せば押入れの奥にあるかも知れない。

押入れの奥というのは不思議な空間で、今はもうある筈もない、昔あったものがまだそこに潜んでいるような気にさせる、記憶の歪みのような場所だ。昔買ってもらった顕微鏡セットやメンコ類など、とうの昔に捨ててしまったものも、夢のなかでは必ず押入れの奥に発見する。あぁ、ここにあったのか、随分探したのにやっぱり捨ててなかったんだな、と喜んでいるうちに夢が覚め、途端に空虚に包まれる。こんなオジサンになった今、何故メンコを捜さなければならないのか、そんな動機もなにもない筈なのに、心の底ではかけがえのない宝物と思っているようなのだ。いや、しかしあんなに沢山あったメンコは本当にどこへ遣ったのだろう。

何故か木島被告がメンコの話に。連想ゲームじゃあるまいし。

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Comments

子どもの頃の練炭こたつを思い出しましたよ。つや消しのようなひねたオレンジ(退色した赤か)のあんかをぱかっと開くと(留め具はひっかけるタイプのものでした)、石綿を詰めた真ん中にそろばん玉形の、赤くいこった練炭を嵌めるのでしたね。匂いまで思い出しました。穴がいっぱい開いた大きな練炭のことも思いだしました。思い出すだけでなんかうれしい。あの頃練炭は本当にまっとうな生活道具でしたね。

そうそう、留め具は引っかけてパチンと止めるタイプで、開けると練炭が2個入るくぼみが付いてるんですよね。布団に入った猫が翌朝中毒して死んでいたなんて話も本当かどうか分かりませんが聞いたこともあります。そうそう、そんな色でしたよ。ひねた赤、医療器具っぽいオレンジというか。

独特な匂いもありましたね。匂いって不思議なもので、記憶で呼び起こされて実際に匂いがする感じまであったり、逆に匂いで記憶が蘇ったりしますよね。偶に風邪を引くと、水枕のゴムの匂いが何故かどこからともなくして来たり(笑。

水枕のゴムの匂いこそ、病気で学校を休んだ日のやるせないような自由なような、でも病気だからしんどい心持ちに直結する記憶ですねえ。幼い日の、お気に入りの毛布とともに闇の中をいつまでも落ちていく落下夢のことも思い出しました。

水枕なんて今はもう使わないんでしょうかね。まだ売ってるのかな。タオルで巻いてもなんだかゴム臭いしタプタプして頭が定まらないし、あぁ風邪引いたなって感じになりましたね。落下夢も見ましたが、自分の周りがやけに膨張するような特有の感覚は良くありました。不思議と今は見ないですね。

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    渡辺克巳

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