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April 29, 2010

あはれ乙女よなぞ泣くか

エントリが少ない上にバックデートしまくりのブログではあるが、最近面白かったもの(小学生か)。
題名は例によって全然関係ありません。

書店繁盛記 (ポプラ文庫)田口久美子「書店繁盛記」(ポプラ文庫)。ジュンク堂池袋店の副店長である著者の内部からみた業界事情。丁度この頃台頭してきたamazonに代表されるネット書店を横目にしつつ語る実店舗書店のエピソードが興味深い。ジュンク堂はい言わずと知れた大型書店の嚆矢だが、その棚の並べ方で売れ行きが変わるという話は面白いし良く理解できる。以前も書いたが、大型書店は在庫数を稼げる代わりに排列が味気ないともいえる。前にも書いたが神保町の新刊書店なら三省堂と東京堂の違いとでも言えば良いか、しかしそういう大型書店でも棚の中ををどう並べるか、またフロアではジャンル毎にどう配置するか、例えば理工学書の横に意図的に文芸書を配置することでその売れ行きが変わるというような、いかに客に対して仕掛け、遊ばせるかに腐心するプロの仕事が垣間見える。この辺りはマーケティングと書店員の美学とでも言うべきものとのせめぎ合いなのだろうか、こうしてみると書店は実に知的な大人のテーマパークだし、実際ネット書店に対抗して生き残るにはにはそういうアプローチを避けて通れないのだろう。
アメリカの書店は日本のように再販制度がないために、書籍の価格は店の裁量で、新刊本と古書が同時に並んでいるというのもこの書で知った。この間滞在した際によく行ったドイツの大型書店、Mayerscheでは料理本のコーナーに食材まで並べてあったりしてなかなか楽しかったが、アメリカのように古書と一緒に並んではいなかったと思う。そういうアメリカの書店文化だからこそ、amazonでは新刊とマーケットプレイスという古書流通が併存していたのか、と合点がいった。あれはアメリカの実店舗でも当たり前の光景であり売り方だったのだ。

書店の大型化で取り残された街の小さな書店の経営者がこういう本を書いたなら読んでみたい。

桜井徳太郎編「民間信仰辞典」(東京堂出版、昭和55年)。こういう辞典はつい引くというより初めから読み込んでしまう。日本の素朴な民間信仰から禁忌、まじないなどをまとめた辞典なのだが、例えば「指切り」という項では「子供が小指を掛け合って約束の証とする行為。」という解説に続いて、東京では「ユビキリカマキリ」と唱えるという。東京生まれの小生でもそんな言葉は聞いたことがないが、小生の子供の頃には「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ます」と言った。そのカマキリとは髪切りの転訛だそうで、指や髪に賭けて誓うという意味らしい。それに続いて、江戸時代には遊女が実際に指を切り落として客に贈ったという話が続くなどなど。面白すぎてつい夜が虱、いや白むまで。

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  • Gangs of Kabukicho.
    渡辺克巳

    097154803X
    新潮社フォトミュゼの「新宿」が絶版となっているなかで最近刊行された渡辺克巳の最新写真集。洋書。



    先般亡くなった路上の写真家、渡辺克巳の写真集。インサイダーとして夜の新宿を流した彼の生の証はその写された人々と共に永く記憶されるべき。


    ジャパン
    倉田 精二
    4106024330
    渡辺克巳とくれば倉田精二を挙げずにはいられない。日本のウィージーと言われたストリートフォトの神髄。都市の殺伐と虚像をこれほど表現した写真はない。

    にっぽん劇場写真帖
    寺山 修司・森山大道
    4106024187
    寺山と森山のコラボレーションは「あゝ、荒野」以前にもこの作品で既に成就していた。68年刊のこの作品は強烈なコントラストとイメージで時代を色濃く表現している。腰巻きの惹句「奇才ふたりが火花を散らすイメージ地獄巡り」も凄いが、天井桟敷率いる寺山へぶつける森山の渾身の「返歌」が熱い。中平卓馬がカメラを構える有名なショットもあり。これを見ずに森山は語れない。


    奈良原の写真は既に絶版になった朝日新聞社の「昭和写真全仕事」を所有しているが、トラピスト修道院に取材した「沈黙の国」「人間の土地」「消滅した時間」などパースを駆使した知的で静謐な写真は独特の美。「無国籍地」は廃墟をモチーフにした写真集。その圧倒的な画面の構成美を。

    Cui Cui
    川内 倫子
    4902943026
    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


    この間東京都写真美術館で行われた回顧展で再び植田の仕事が再評価されている。砂丘シリーズに代表されるこのモダニズムはいつまでも古びない。

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