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February 23, 2009

パノラマノスタルジー

ギズモードに普通のデジカメをパノラマカメラにするアダプターの記事が掲載されていたが、そのギミックとは、カメラごとその画角分を少しづつ動かして、全周をくまなく写すという、力技に近い驚くべきものだ。詳細は下記。
http://www.gizmodo.jp/2009/02/gigapan_epic.html

つまり機械任せのスティッチ写真だ。写した写真はあとで合成する仕組みだが、そのままだと巨大なデータ量のファイルが出来てしまう。上のサイトにはサンプル写真が掲載されているが、一枚でなんと2GBもある。どんな用途に使うことを想定しているのか分からないが、オバマの就任式がサンプルに使われているように、大きな式典などに使えるかも知れない。特殊なようでいて案外価格も安い。

記事で指摘されているように、すべての写真を撮り終えるまでの時間差が欠点のようではあるが、これを逆に利用するというのも面白そうだ。あのホックニーのジョイナー写真のように。

そういえば、ワイドラックスやロシア製HORISONのようなレンズが左右にスキャンするパノラマカメラも、最近刊行された南部辰雄の写真集などに使われていたりしてまた興味が出てきたが、タイポグラフィーの浅葉克巳もワイドラックスを愛用していたのを何かの雑誌で読んだことがある。すべてのコマをモノクロの六切にノートリミングで焼いた写真はなかなかセンスの良いものだった。

またまたそういえば、25年ほど前のワイドラックスのカタログにはちょうど上のオバマの就任式と同じように東京オリンピックの開会式が作例写真として使われていた。小生がこれまでにパノラマカメラがあったらと思ったことは、スイスのユングフラウに行ったとき、では全然なくて、あの大葬の礼の際に昭和天皇が多摩御陵に運ばれる際の長い葬列を目の当たりにしたときだった。どんなカメラよりもいまワイドラックスが手にあればと思ったものだった。

電子的な合成のパノラマよりも、フィルムという実存を感じさせるそれが真にパノラマと呼ぶにふさわしい気がする。

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    渡辺克巳

    097154803X
    新潮社フォトミュゼの「新宿」が絶版となっているなかで最近刊行された渡辺克巳の最新写真集。洋書。



    先般亡くなった路上の写真家、渡辺克巳の写真集。インサイダーとして夜の新宿を流した彼の生の証はその写された人々と共に永く記憶されるべき。


    ジャパン
    倉田 精二
    4106024330
    渡辺克巳とくれば倉田精二を挙げずにはいられない。日本のウィージーと言われたストリートフォトの神髄。都市の殺伐と虚像をこれほど表現した写真はない。

    にっぽん劇場写真帖
    寺山 修司・森山大道
    4106024187
    寺山と森山のコラボレーションは「あゝ、荒野」以前にもこの作品で既に成就していた。68年刊のこの作品は強烈なコントラストとイメージで時代を色濃く表現している。腰巻きの惹句「奇才ふたりが火花を散らすイメージ地獄巡り」も凄いが、天井桟敷率いる寺山へぶつける森山の渾身の「返歌」が熱い。中平卓馬がカメラを構える有名なショットもあり。これを見ずに森山は語れない。


    奈良原の写真は既に絶版になった朝日新聞社の「昭和写真全仕事」を所有しているが、トラピスト修道院に取材した「沈黙の国」「人間の土地」「消滅した時間」などパースを駆使した知的で静謐な写真は独特の美。「無国籍地」は廃墟をモチーフにした写真集。その圧倒的な画面の構成美を。

    Cui Cui
    川内 倫子
    4902943026
    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


    この間東京都写真美術館で行われた回顧展で再び植田の仕事が再評価されている。砂丘シリーズに代表されるこのモダニズムはいつまでも古びない。

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