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January 31, 2009

森永純 / 波間の宇宙 ~ 写真展 / 『瞬~揺』

エプソンのギャラリー、新宿のエプサイトで森永純の写真展「瞬~揺」が2009年3月1日まで開催されている。森永純は水俣を取材した写真家ユージン・スミスの助手を経て、一貫して河や海の波をモチーフとした写真を発表し続けてきた作家だが、今回も同じようでいて一時も変幻を止めない波のテクスチャーを一瞬に凝結したコンセプチュアルな作品だ。波を画面に含めた情景ではなく、波や河の水面そのものを徹底的に凝視するという試みが79年発表の「河・累景」(邑元舎)から既に30年余を経て続いているというのは驚きだ。既に写真というよりコンセプトアートとも、またその汚泥やドブ河が見せるモノクロのグラデーションの美はプリントそのものの工芸品としての美しさともなっており、小生の所有したい写真集の常に上位を占めているのだが、この処女写真集「河・累景」にしたところで撮影からその発表までに実に17年を経過しているという。

79年に出版された「写真論と写心論」(planetary books4, 工作舎)は松岡正剛との非常に刺激的でスリリングな対談集だが、上の写真は発行の何年か後に書店で購入したものだ。ちなみにこのplanetary booksは松岡正剛責任編集の雑誌「遊」が発行したブックレットで、「思考の気楽、存在の余裕を求める聖なる凡人のための遊学テキスト。プラクリット(話し言葉)で展開する破天荒かつ真摯な「新・アカデメイア」」、「科学・言語・夢を包括して存在と光景の結晶化にむかう新しいイメージ学のための遊学テキスト」などと銘打たれた民俗学や科学を「遊学」的に編んだ対談集で、いかにも松岡らしい挑発とレトリックが嬉しいのだが、いまもしこのシリーズを古書店の棚に見つけたとしたら迷わず購入してしまうだろう。
この森永との対談は「河・累景」の刊行と銀座ニコンサロンでの個展の直前に行われている。

そのなかで森永は、「河原温に代表されるものの後に流行し始めたコンセプチュアル・アートなどは、単なるアイデアで終わっているものが多いですね。(中略)何か中心に据えたテーマをずっと押して行かないとすごいものにならないのではないか。(中略)作家とは、一つのメイン・テーマを繰り返すことしかやらないと思っています。」(同書p.49)と言っているが、まさしくその言葉通りに30年以上にわたり同じテーマを深め追求しつづけた作品を発表するということには素直に感動する。最近のいわゆるアートと呼ばれる「思いつき」の薄っぺらさは森永の前ではいかにも軽く見えてしまうほどにこの堆積した時間、その止むに止まれぬ創作の衝動に打たれる。

まだ写真展には行っていないが、会場がエプソンの運営するエプサイトであればインクジェットプリントである可能性もあり是非これも確認してみたい。

- 森永 純写真展「瞬~揺」
http://www.epson.jp/epsite/event/gallery1/09/0901.htm

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