御法川修 / 『世界はときどき美しい』
日常へのさりげない慈しみを映像スケッチ風に纏めた5つの小話からなるオムニバス。何事も起こるわけではない日常、しかしそのなかでふと迎える小さな転回点。この誰にでもあるささやかな営為に優しい眼差しを向けることの意味を詩的映像で表現した佳作だ。
キャストは松田美由紀、市川実日子、松田龍平、柄本明、浅見れいな、あがた森魚など。日頃どちらかというとアクの強い作品ばかり観ているだけに、偶にこういう作品に出会うと心が癒される思い。映像詩と謳われる作品はその殆どが独りよがりなものが多く、大抵は意味不明な気分だけの作品と相場が決まっているが、この作品は脚本がしっかりしており映像の美しさを損なっていない。
この作品は全編8mmフィルムで撮影されブローアップされている。この8mmのもつノスタルジーは独特のガンマの低い色調や拡大された銀塩粒子、コマ数の低さから来る画面の動きで作品の内容に上手く沿ったものとなった。折しも以前から8mmフィルムの動向に注目していたが、やはり衰退の一途を辿っておりもはや風前の灯だ。しかしこの8mmの持つ感覚は他では代え難いものでもある。富士フイルムは今年シングルエイトの撤退を予定していたが、ユーザの強い要望で販売と現像の終了を延長することになったらしい。
個人メディアとしての8mmは既にビデオに置き換わって久しく、記録手段という意味では当然の趨勢としても、表現手段のバリエーションの一つとしては是非残して貰いたいメディアだと思う。2007年、70分。
■関連サイト
- 世界はときどき美しい 公式サイト
http://www.sekaihatokidoki.com/










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