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January 08, 2008

市川準 / 『トニー滝谷』

トニー滝谷 プレミアム・エディション正直なところ市川準の作品はいままで余り好きではなかった。好きではないと言うよりも、可もなく取り立てて不可もなくというのが印象だったが、とはいってもそれほど作品を観ている訳ではなく食わず嫌いと言っても良いかも知れなかったが。

村上春樹の原作になるこの作品は、全編を西島秀俊による語りで話を進める形式となっているが、その語りを俳優がセリフで引き継ぐという一風変わった演出となっている。しかし文芸作品、とりわけ村上春樹のような作家の小説を、その話を軸として映像化してもおそらく作品を読んだ人には失望させるだけだったろう。以前にも書いたが、総じて文芸作品を映画化したものは上手く行かないようだ。結局俳優のキャスティングにだけ寄りかかったような作品にとどまることが多い。この映画はそんな映像化は端から上手く行かないだろうことを知った上で、映画で「小説を読む」という演出を採ったのではないかと思うし、それはどうも成功しているようだった。

宮沢りえは可憐でこの作品には適役。13歳という歳の差の伴侶を亡くして初めて孤独というものを知る中年のデザイナーに演技巧者のイッセー尾形。音楽は坂本龍一。1995年、75分。

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    渡辺克巳

    097154803X
    新潮社フォトミュゼの「新宿」が絶版となっているなかで最近刊行された渡辺克巳の最新写真集。洋書。



    先般亡くなった路上の写真家、渡辺克巳の写真集。インサイダーとして夜の新宿を流した彼の生の証はその写された人々と共に永く記憶されるべき。


    ジャパン
    倉田 精二
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    渡辺克巳とくれば倉田精二を挙げずにはいられない。日本のウィージーと言われたストリートフォトの神髄。都市の殺伐と虚像をこれほど表現した写真はない。

    にっぽん劇場写真帖
    寺山 修司・森山大道
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    寺山と森山のコラボレーションは「あゝ、荒野」以前にもこの作品で既に成就していた。68年刊のこの作品は強烈なコントラストとイメージで時代を色濃く表現している。腰巻きの惹句「奇才ふたりが火花を散らすイメージ地獄巡り」も凄いが、天井桟敷率いる寺山へぶつける森山の渾身の「返歌」が熱い。中平卓馬がカメラを構える有名なショットもあり。これを見ずに森山は語れない。


    奈良原の写真は既に絶版になった朝日新聞社の「昭和写真全仕事」を所有しているが、トラピスト修道院に取材した「沈黙の国」「人間の土地」「消滅した時間」などパースを駆使した知的で静謐な写真は独特の美。「無国籍地」は廃墟をモチーフにした写真集。その圧倒的な画面の構成美を。

    Cui Cui
    川内 倫子
    4902943026
    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


    この間東京都写真美術館で行われた回顧展で再び植田の仕事が再評価されている。砂丘シリーズに代表されるこのモダニズムはいつまでも古びない。

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