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January 01, 2008

松井良彦 / 『追悼のざわめき』

初回限定生産 追悼のざわめき デジタルリマスター版 スペシャル・エディション(3枚組)この作品は伝説のカルトムービーと形容されることが多いがそれは多分当たっていない。インモラルや衝撃を描くのは簡単だ。ただケレン味を並べればいいだけのことでそんな映画は掃いて捨てるほど存在するし、既に描き尽くされた凡庸な主題には見る側が慣れてしまっている。しかしこの映画は全くの別格だ。この吐き気を催すような主題には必然というものがある。実は映画の必然性というのは非常に大事で、それがシリアスなものであれ、コメディであれ、そこに描かれるものに止むに止まれぬ必然が無ければならない。その表現への欲望に取り憑かれた松井がその内容から映画の撮影を何度も中断し、配役や配給が降りても石にしがみつく思いで完成させたというこの作品は、聖性と背反の美しいファンタジーにまで昇華したものとなった。

物語は並行しそれぞれが擦過する。大阪のドヤ街、炎天下の釜が崎を舞台に、マネキンと愛の生活を送る男、石川(佐野和宏)、女の股に見立てた木の切り株を引きずり石川がマネキンに仕込んだガラスで陰部を負傷する浮浪者(大須賀勇)、こんな体で男を知らないでいるのは不憫との母の遺言から年に一度仏壇の前で妹を抱く小人症の兄妹、石川に襲われ復讐を遂げる盲目の傷痍軍人、妹を抱きその破瓜の夥しい血に息絶える妹をついには食べてしまう美しい兄、そこで語られるのは暴力と差別、近親相姦、ピグマリオニズム、カニバリズム等など魂の暗部をえぐられるかのような主題ばかりだ。しかしこれらを突き詰めたところに不意に立ち現れるのは聖性と救済なのだった。これは一体何だろうか。

驚くべきは、その撮影手法にも及ぶ。ドヤ街のビル屋上でマネキンの腹から小人症の妹(仲井まみ子)が胎児を取り出し、憎悪を以てそれを握りつぶしてついには火を付けるシーン、屋上は濛々たる煙が立ち上り警察や消防隊が駆けつける。彼らは演技ではなく実は本物の警察や消防隊で、それらが実際に来るであろうことを台本に予定して撮影されたものだ。
おそらく仲井が胎児を手に学校の校庭をうろつき、それを見て生徒が逃げまどうシーンもこうしたハプニング的手法を取っていると思う。

以前からこの作品を観たいと思っていたが結局観られずにいた。
昨年、当時の映像に「ワダツミの木」の上田現の音楽などを加えたデジタルリマスター版がイメージフォーラムで上映されたもののこれにも行けなかったが、先日DVD化され漸く観ることが出来た。間違いなく2007年度の極私的ベスト1になるものと思う。

YOU TUBEにトレイラーがアップされているのを発見したので、しばらく貼っておきます。1988年、2007年、150分、16mm。


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    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


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