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August 19, 2007

細江英公 / 『おかあさんのばか』

おかあさんのばか―細江英公人間写真集

この前エントリした細江英公写真芸術研究所のサイトに写真集「おかあさんのばか」を発見して驚いた。何故驚いたのかと言えば、小生が高校生の頃所属していたコーラス部で同名の合唱曲を演奏したことがあるからだ。題名をみてもしやと思い調べてみるとやはりその曲と同じモチーフを扱った作品だった。

この作品は1965年に英語版の写真集「Why, Mother, Why?」として海外で刊行された。
突然母親を脳出血で亡くし、遺された父親と兄と共に健気にも強く生きて行こうとする当時小学六年生の古田幸が書いた詩に触発された細江がその詩世界を撮影したモノクロの作品だ。

1965年といえば当時細江は32歳、三島由紀夫を被写体とした名作「薔薇荊」(63年)を上梓し、土方巽をモチーフとした「鎌鼬」(69年)の撮影を開始した時期というまさに細江の代表作が生み出された時期だった。

なぜか海外で刊行されたこの「Why, Mother, Why?」は日本では出版されなかったが、その理由は不明だ。おそらく出版のタイミングが合わなかったということだろうと思う。しかし、その実に40年後の2004年に窓社よりようやく日本で刊行されたのだった。

一方、合唱曲としては、中田喜直と磯部俶の共作による合唱組曲という形で1965年に発表された。
ほぼ同時に細江の写真と合唱曲が発表されていたことになる。

小生が男声合唱で歌ったのはそのかなり後になるが、当時高校一年生で合唱部に入って初めて演奏したのがこの曲だった。放課後の連日におよぶ練習でいまでも全曲が歌えるほどに思い出深い。
その曲が何気なしにみたサイトで同じ題名の作品に出会い、それがあの曲に連なるものと知って本当に感慨深い。すでにかなりの時間を経た今、その当時の古田幸の写真に出会えるなんて。

2004年に出版された際には話題となっていたようだが気づかず、細江の写真集では何故かこの作品はノーチェックだった。写真集には現在大人になり母親となった古田幸の寄稿がある。65年当時小学六年生ということは今年55歳ということか。

全く個人的なことでしかないのだが、小生にとってこの写真集との邂逅は突然に昔の自分に出会うような驚きだった。

調べてゆくうちに1964年に同名の映画「おかあさんのばか」が松竹で制作されているのを見つけた。出演は乙羽信子、下條正巳などとなっているが詳細は不明。しかし時期と題名から同じ主題である可能性が強い。この作品をいつか観てみたいものだ。

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Comments

そうそうそう!
この写真集、ものすごくいい家族の写真なんですよね。
2004年ごろでしたか、日本語版として復刻されたんですが、古田幸さんの詩が、40年を経た今読むと、哀しい中にも生き生きしているというか、子供の感性の素直で豊かなところが愛しくなります。

さすがISさん、ご存じでしたか。
みゆきちゃんはお母さんが亡くなってからけなげにも自分が家族のなかでお母さんの役割をしなければならないと必死になるんですよね。
合唱曲も感動的なものになっているんですが、へたくそだったもので感動のはずが最後には不協和音で笑いを誘ったという.....
いやこれを思い出すと恥ずかしいような哀しいような、泣き笑いになっちゃいます。

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    渡辺克巳

    097154803X
    新潮社フォトミュゼの「新宿」が絶版となっているなかで最近刊行された渡辺克巳の最新写真集。洋書。



    先般亡くなった路上の写真家、渡辺克巳の写真集。インサイダーとして夜の新宿を流した彼の生の証はその写された人々と共に永く記憶されるべき。


    ジャパン
    倉田 精二
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    渡辺克巳とくれば倉田精二を挙げずにはいられない。日本のウィージーと言われたストリートフォトの神髄。都市の殺伐と虚像をこれほど表現した写真はない。

    にっぽん劇場写真帖
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    奈良原の写真は既に絶版になった朝日新聞社の「昭和写真全仕事」を所有しているが、トラピスト修道院に取材した「沈黙の国」「人間の土地」「消滅した時間」などパースを駆使した知的で静謐な写真は独特の美。「無国籍地」は廃墟をモチーフにした写真集。その圧倒的な画面の構成美を。

    Cui Cui
    川内 倫子
    4902943026
    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


    この間東京都写真美術館で行われた回顧展で再び植田の仕事が再評価されている。砂丘シリーズに代表されるこのモダニズムはいつまでも古びない。

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