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July 16, 2007

丸井太郎と飯田蝶子 / 『温泉女医』

先週の水曜日、小雨のなかをラピュタ阿佐ヶ谷で上映の木村恵吾監督「温泉女医」を観に行った。
ラピュタはいま「映画x温泉 湯けむり日本映画紀行」という特集をやっていて本作はその一つ。ちなみに水曜日は割引で一般が千円だ。

主演はちょうどいまなにかと話題の黒川紀章夫人、若尾文子。64年の作品だから当時31歳で、60年代らしい髪型とメイクは時代を感じさせるが、若い頃から大人っぽい雰囲気で綺麗。でも女医というよりは手だれたバーの若マダムという感じがなんとも。

話は温泉場の(伊東温泉らしい)医院に代用医師として赴任してきた若い女医を巡るコメディで、藪内医院などという名前もいかにも喜劇風。医大をでたものの医師とならず養蜂業を目指す息子に丸井太郎。父親役の菅井一郎扮する藪内医師に勘当されているが、孤児の面倒をみるなどいいお兄ちゃん振りを発揮している。温泉旅館の主に二代目中村雁治郎(中村玉緒のお父さんですね。そっくりです。ちなみに三代目中村雁治郎は扇千景の旦那で現、坂田藤十郎)。コメディらしくチョイ役で当時人気絶頂の林家三平、ミヤコ蝶々や美人女医に通い詰める魚屋の旦那に柳家金語楼などが出演。三平も金語楼もしょこたん風に言えばテラナツカシスって感じ(汗)。

普段は大映の脇役として素朴で実直な農民などを演じていた丸井太郎は本作では主演格という珍しい作品。最後は女医と結ばれるという設定でなかなかいい味を出している。

しかし、丸井は本作の3年後に自殺してしまうのだ。それを知りつつこの作品を観るのは辛い。
柴田錬三郎原作の「図々しい奴」のテレビドラマで丸井は主役として大当たりしたが、当時映画俳優とテレビ俳優の区別が厳然としてあり、映画俳優に戻らざるを得なかった丸井は大映に戻ったあとも脇役に甘んじる他なかった。
自殺はこのあたりが原因と言われているが、そういう背景で観ると丸井が主役格のこの作品は特別に感慨深い。
小生の好きな雷蔵演ずる眠狂四郎や座頭市、同じ雷蔵主演の「大菩薩峠」や「大魔神」などでも脇役ながら存在感を出していたが。享年32歳とは若すぎる。

医院の古いお手伝いさんを飯田蝶子が演じているがこれも懐かしい顔。小生のほんの子供の頃のテレビに昔からおばあさん役でよく出ていたが、たしか久世光彦脚本の「時間ですよ」とかよく覚えている。そんな懐かしい顔に図らずも出会えるのが古い邦画通いの醍醐味かも。他、三原葉子、姿三千子など。1964年、78分、大映。

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