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June 17, 2007

井桁裕子作品展、映画「アリア」そして鬼海弘雄

随分エントリに間を空けてしまったが、梅雨の晴れ間の今日、先日エントリした井桁裕子の人形作品展「人形を探す旅~面影portrait~」を観に東中野のギャラリーRAFTへ行った。JR中野駅前で用事を済ませてから一丁目まで歩いておよそ15分ほど。初夏の陽気はまだ暑さに若さがあって気持ち良いものだったが、いつもポレポレ座に映画を観る時に降りる東中野からではなく中野5丁目から歩くのは初めてだった。

小さな片翼のオブジェのような作品と、球体関節人形が4体、舞踏家の吉本大輔をモチーフとした作品や坪川拓史監督、高橋マリ子主演の映画「アリア」(2007年、105分)の為に制作したという少女の人形などを展示。
実在の人物をモチーフとした球体関節人形というユニークな表現には前々から興味があって今回初めて作品を拝見したのだが、彼女の作品にはリアリティを超えた人形としての実存が色濃く、対峙する程にものとしてではなく自立し意志を持った存在というものを感じてしまう。それは工芸品をみているのではなく、観るものと等価の「他者」として対峙しているのであって、その表情やバランス感覚の美しさには並々ならぬものがある。

このところ人形作家の作品を続けて観る機会があったのだが、井桁の作品は明らかに他の作品とは異なる次元を感じる。この違いはどこからくるのか。20年ほど前に青木画廊で出会った四谷シモンや天野可淡の作品につらなる作家性の濃さを感じられたのは嬉しい出来事だった。(ご本人は気さくで素敵な方でこちらの不躾な質問にも丁寧にお答え頂き本当に有り難うございました。)

映画「アリア」は四谷シモンも出演するとのことで、日本での公開は未定とのことだが是非観てみたい。

実はギャラリーに着くやどこかで見覚えのある方が出てこられるところだった。もしやと思い、あとで井桁さんに伺うと、やはり写真家の鬼海弘雄その人だった。鬼海については以前何度かエントリしていたが、ご本人を目の前にするのは初めて。この間のタカイシイギャラリーでの森山大道との擦過といい、こんなことが不思議と多い昨今。

■関連サイト
- 製作作品:アリア | 天然堂FILM
http://www.tennen-movie.net/movie2.php
- 人形作家 井桁裕子 球体関節人形 Web写真集
http://www.otomeru.com/igeta/

■関連エントリ
- 月球儀通信 : 井桁裕子 / 『人形を探す旅 ~面影 portrait~』
http://azusayumi.tea-nifty.com/fragment/2007/06/portrait_2eaa.html
- 月球儀通信 : 土門拳賞作家 『鬼海弘雄』 補遺
http://azusayumi.tea-nifty.com/fragment/2004/04/__1.html
- 月球儀通信 : 天野可淡 / 苦悶の天使
http://azusayumi.tea-nifty.com/fragment/2007/01/__160f.html
- 月球儀通信 : 『シモンのシモン』『人形作家』 / 四谷シモン 
http://azusayumi.tea-nifty.com/fragment/2004/03/__4.html

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  • Gangs of Kabukicho.
    渡辺克巳

    097154803X
    新潮社フォトミュゼの「新宿」が絶版となっているなかで最近刊行された渡辺克巳の最新写真集。洋書。



    先般亡くなった路上の写真家、渡辺克巳の写真集。インサイダーとして夜の新宿を流した彼の生の証はその写された人々と共に永く記憶されるべき。


    ジャパン
    倉田 精二
    4106024330
    渡辺克巳とくれば倉田精二を挙げずにはいられない。日本のウィージーと言われたストリートフォトの神髄。都市の殺伐と虚像をこれほど表現した写真はない。

    にっぽん劇場写真帖
    寺山 修司・森山大道
    4106024187
    寺山と森山のコラボレーションは「あゝ、荒野」以前にもこの作品で既に成就していた。68年刊のこの作品は強烈なコントラストとイメージで時代を色濃く表現している。腰巻きの惹句「奇才ふたりが火花を散らすイメージ地獄巡り」も凄いが、天井桟敷率いる寺山へぶつける森山の渾身の「返歌」が熱い。中平卓馬がカメラを構える有名なショットもあり。これを見ずに森山は語れない。


    奈良原の写真は既に絶版になった朝日新聞社の「昭和写真全仕事」を所有しているが、トラピスト修道院に取材した「沈黙の国」「人間の土地」「消滅した時間」などパースを駆使した知的で静謐な写真は独特の美。「無国籍地」は廃墟をモチーフにした写真集。その圧倒的な画面の構成美を。

    Cui Cui
    川内 倫子
    4902943026
    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


    この間東京都写真美術館で行われた回顧展で再び植田の仕事が再評価されている。砂丘シリーズに代表されるこのモダニズムはいつまでも古びない。

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