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May 07, 2007

甲斐庄楠音から溝口健二『雨月物語』へ

ぼっけえ、きょうてえ独特のデカダンスな美人画で知られる日本画家、甲斐庄楠音の伝記「女人讃歌 甲斐庄楠音の生涯」(栗田勇/87年/新潮社)を読み始めた。明日からまた旅なのでこの続きは機内で読むことにするが、代表作の一つ、「横櫛」(1918年)は岩井志麻子の「ぼっけえ、きょうてえ」の表紙ともなっていて、生々しいまでにデモーニッシュな人物造形、特に白粉と地肌のあわいのリアリズムと様式美の共存には抗しがたい魅力がある。

甲斐庄は大正15年、国画会の土田麦僊に酷評され画壇から映画界へ衣装考証家として活躍の場を移し、溝口健二の作品にその美意識を投影することとなった。その代表作、ベネチア映画祭銀獅子賞受賞作である「雨月物語」(1953年、大映)を昨日借りて観た。既に以前観ているので再度観たことになるが、森雅之、田中絹代、京マチ子らの演技や溝口の演出、宮川一夫のカメラワークなどもさることながら森が妻役の田中に買い与える着物の美しさはモノクロ作品ながら見て取れる気がした。

甲斐庄は同性愛者だったという説もあり作品にその美意識のありようを伺わせる気もするがその辺りの消息は代表作の図版や甲斐庄自身の写真も多数展覧する下記のサイトに詳しい。このサイト、「議論」がすこぶる面白し。ここからリンクされている別サイト「甲斐庄楠音外伝」も必読。

- 甲斐庄楠音研究室
http://members.at.infoseek.co.jp/kainoshou/index.html

甲斐庄の画集は検索してもなかなか見つからない。美術館のカタログなどを古書で捜すしかないか。
昨年放送のNHK新・日曜美術館の甲斐庄特集は松井冬子、松岡正剛の解説もあって録画していなかったのが悔やまれる。

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