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April 01, 2007

千鳥ヶ淵の夜は更けて

千代田区の主宰する桜祭りで通りに露台が並ぶ神保町から九段下まで友人と待ち合わせの昭和館までそぞろ歩きしながら建て替えが決まったらしい九段下ビルの古びた姿を眺めた。以前何度か写真に撮ったりしたが、昨年撮ったスティッチ写真はこんな感じ。もういまはビル全体に網がかかっているが、まだ営業を続けている店舗もあるようだ。このビルは後ろから眺めると面白い構造になっている。

Stitching "etude #006"

昭和館前は千鳥ヶ淵の桜を愛でる客で大賑わいで、毎年いつみても美しい。武道館の「大きなタマネギ」を借景に風に舞う桜を見ていると周囲の喧噪も忘れるようだ。しかしカメラを持って来なかったのが悔やまれる。約束の時間よりかなり早く着いてしまったので、昭和館一階の古い映像コーナーで昭和11年の朝日ニュースをみたが、まだ時間が余ってしまい特別展「手塚治虫の漫画の原点」をみた。手塚の原画を見られたのが収穫。

そのまま友人と合流して靖國神社に参拝し、久しぶりに遊就館に行ってみた。リニューアル後の遊就館は初めてだ。死地に赴く直前に「お母さん、お母さん」と何行にもわたって書かかれた手紙を見て胸が詰まった。まだ二十歳そこそこの若さで逝ったこの人に今の日本を見てどう思うかを聞いてみたい衝動に駆られる。
靖國神社は九段の坂を登りつめた、言ってみれば丘の上にあるため参道の入り口から見ると大鳥居の背景が空だけになって美しい。丁度空に鳥居が浮かんでいるような景色だ。歩を進めると次第に大村益次郎像が現れてくるのがなかなか良い。

靖國の境内には出店が出ていて、有志により寄贈された桜のもと焼きそばとお好み焼きとビールでしばらく夜桜の花見をして神保町に戻りいつもの古瀬戸でお茶。見慣れた仕事場も九段から逆に歩くと何故か新鮮な気分。

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    渡辺克巳

    097154803X
    新潮社フォトミュゼの「新宿」が絶版となっているなかで最近刊行された渡辺克巳の最新写真集。洋書。



    先般亡くなった路上の写真家、渡辺克巳の写真集。インサイダーとして夜の新宿を流した彼の生の証はその写された人々と共に永く記憶されるべき。


    ジャパン
    倉田 精二
    4106024330
    渡辺克巳とくれば倉田精二を挙げずにはいられない。日本のウィージーと言われたストリートフォトの神髄。都市の殺伐と虚像をこれほど表現した写真はない。

    にっぽん劇場写真帖
    寺山 修司・森山大道
    4106024187
    寺山と森山のコラボレーションは「あゝ、荒野」以前にもこの作品で既に成就していた。68年刊のこの作品は強烈なコントラストとイメージで時代を色濃く表現している。腰巻きの惹句「奇才ふたりが火花を散らすイメージ地獄巡り」も凄いが、天井桟敷率いる寺山へぶつける森山の渾身の「返歌」が熱い。中平卓馬がカメラを構える有名なショットもあり。これを見ずに森山は語れない。


    奈良原の写真は既に絶版になった朝日新聞社の「昭和写真全仕事」を所有しているが、トラピスト修道院に取材した「沈黙の国」「人間の土地」「消滅した時間」などパースを駆使した知的で静謐な写真は独特の美。「無国籍地」は廃墟をモチーフにした写真集。その圧倒的な画面の構成美を。

    Cui Cui
    川内 倫子
    4902943026
    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


    この間東京都写真美術館で行われた回顧展で再び植田の仕事が再評価されている。砂丘シリーズに代表されるこのモダニズムはいつまでも古びない。

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