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January 02, 2007

天野可淡 / 苦悶の天使


このあいだ四谷シモンと吉田良についてのエントリを書いてからいろいろと思い出したのだけれど、随分前、神保町の東京堂書店だったか書店のフロアを彷徨いながら棚に置かれた「美術手帖」誌につい惹かれて購入した。特集が「現代の人形たち」だったからだ。その1981年7月号の表紙は辻村ジュサブロー(寿三郎)の縮緬張り人形(写真)で、現代美術のなかの人形という位置づけで、ベルメールから加藤綾、中村寝郎、細山潤子、翁譲、吉田良一、四谷シモン、土井典、ノロ燐などと並んで天野可淡の人形がグラビアに飾られていた。その頃まだ存命の寺山修司と白石かずこの対談「当世人形黙示録」やヨシダヨシエの評論も掲載されている。
既に四谷シモンの人形には惹かれていて、澁澤龍彦や詩人の高橋睦郎などから四谷の人形へと興味が流れて行くのは必然に近いものがあったとは思うが、天野の人形に出会ったのはこの美術手帖のグラビアからだった。

KATAN DOLL/カタンドール

グラビアは天野の仕事場とおぼしきアトリエが舞台となっていて、制作途中の人形が数体、天井から吊されていた。その表情は一言では言い表せないが一様に苦悶、というより苦痛の果てに諦念に至ったような呆然と哀しげなものでそのただ事ならない美しさにたちまち打たれてしまった。

その後、多分82年頃だと思うが、渋谷の東急(だと思う)で札幌の人形屋佐吉による人形展が開かれていて、ジュモーなどのビスクに並んで、これも縮緬張りの与勇輝や四谷の人形を間近にみた。このころ、友永詔三の個展を国立に観に行った記憶がある。京都の昔人形青山へわざわざ人形を見に行ったのもこのころだった。

しばらくして、吉田良一の写真になる天野可淡作品集、「KATAN DOLL」(89年)、「KATAN DOLL fantasm」(90年)、「KATAN DOLL RETROSPECTIVE」(92年)がトレヴィルから出版されて、一昔前はそれこそ古書でも比較的容易に入手可能だったが、いま調べてみるとどうも入手困難となっているらしい。
この三冊が刊行されるさなかの90年、天野は交通事故にて逝去した。吉田良一(現、吉田良)とは夫婦だったという話もネットの片隅にあるようだが真偽のほどは分からない。

話は飛ぶが、可淡という名前はおそらく手芸で使われる「カタン糸」からきているのだと思う。カタンはcottonだからつまり木綿の意。この名前から彼女の人形が布などを使ったいわば手芸に近いもののイメージがあるが、球体関節人形でもあり例の美術手帖でも素材は石塑、ガラスなどとなっている。もしかすると初期の頃はそういう作品を作っていたのかも知れない。これは単なる想像。

天野の作品は既に先のトレヴィル刊になる三冊が入手困難とすれば、現在かろうじて下のCD-ROM作品集が入手可能なものだろう。かと思ったが、amazonでは在庫切れとなっているらしい。
2007年に復刊されています。

■関連サイト
- DOLL SPACE PYGMALION
http://pygmalion.mda.or.jp/

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