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November 19, 2006

渡辺眸、北島敬三とメメント・モリ

一昨日から作り始めた写真集のインデックスを編集しながら、自分の好きな写真家の作品のかなりのものが既に絶版になっているのを発見して感慨深かった。五十音順に並べながら(これが大変。もっとやりやすいと良いのだけれど。)例えば、渡辺眸などは自分のなかではもうすっかり忘れてしまっていて(申し訳ありません・・・)、わ、えーと渡辺兼人、渡辺克巳などと思い浮かべてふと思い出した訳だ。彼女の作品「東大全共闘」から「天竺」のインドへと移りゆく視線はなにか理解できるものがある。私のなかでは渡辺眸と歌人のだれだっけか、河野裕子だったかと何故か繋がっていて、ジャンルもなにも違うのにどういう回路なのだろうか何故だか取り違えていたりした。

そうそう、で絶版になっている話だけれど、北島敬三の「New York」や「写真特急便「東京」」などは、森山の影響がかなり色濃いものの、その都市への挑み方の尋常ならざるものに衝撃を受けた。すれ違いざまに恐らくノーファインダーで写し取った人々のスナップは、まるで小さな狼が巨大な都市に喧嘩を売るような、見事と言うほかない徘徊のありようだ。こういう写真が入手できないというのは私的には問題だ。で、せっせと恵比寿の写美の図書館で閉架から出して貰うことになる。

藤原新也の新刊「黄泉の犬」(文藝春秋)が書店の平台に置かれていた。帯にはガンジス河畔の例の有名な写真がデザインされていて、「人は犬に喰われるほど自由だ。」という当時のコピーが思い出された。なんでも10年前のカルト教団事件が主題らしい。正直このテーマには惹かれないのだけれど、昔の著作「全東洋街道」に影響されてオリンパスOM-1にズイコー28mmを付けて東洋街道の最終地点、旅の果ての高野山の宿坊へ藤原気取りで行った思い出がある。あぁ、はずかし。藤原の写真はポジをアンダー気味に撮ることで独特の色味をだしているようだが、何故だか微妙に色が滲んでいて、あのいわゆる「彼岸風味」のようなものは一体どこからくるのか、もしかして長旅のことレンズが手油で汚れているのではないだろうか、と思ってケンコーのUVフィルターを自分なりに汚して(笑)試してみたりした。

話が長くなりそうなのでこっそりとつづく。

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  • Gangs of Kabukicho.
    渡辺克巳

    097154803X
    新潮社フォトミュゼの「新宿」が絶版となっているなかで最近刊行された渡辺克巳の最新写真集。洋書。



    先般亡くなった路上の写真家、渡辺克巳の写真集。インサイダーとして夜の新宿を流した彼の生の証はその写された人々と共に永く記憶されるべき。


    ジャパン
    倉田 精二
    4106024330
    渡辺克巳とくれば倉田精二を挙げずにはいられない。日本のウィージーと言われたストリートフォトの神髄。都市の殺伐と虚像をこれほど表現した写真はない。

    にっぽん劇場写真帖
    寺山 修司・森山大道
    4106024187
    寺山と森山のコラボレーションは「あゝ、荒野」以前にもこの作品で既に成就していた。68年刊のこの作品は強烈なコントラストとイメージで時代を色濃く表現している。腰巻きの惹句「奇才ふたりが火花を散らすイメージ地獄巡り」も凄いが、天井桟敷率いる寺山へぶつける森山の渾身の「返歌」が熱い。中平卓馬がカメラを構える有名なショットもあり。これを見ずに森山は語れない。


    奈良原の写真は既に絶版になった朝日新聞社の「昭和写真全仕事」を所有しているが、トラピスト修道院に取材した「沈黙の国」「人間の土地」「消滅した時間」などパースを駆使した知的で静謐な写真は独特の美。「無国籍地」は廃墟をモチーフにした写真集。その圧倒的な画面の構成美を。

    Cui Cui
    川内 倫子
    4902943026
    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


    この間東京都写真美術館で行われた回顧展で再び植田の仕事が再評価されている。砂丘シリーズに代表されるこのモダニズムはいつまでも古びない。

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