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October 05, 2006

三樹夫&雷蔵 / 『ある殺し屋』

ある殺し屋最近古い映画が続々とDVD化されているようだ。小津や黒沢の作品は随分前からDVDで作品集がでていたが、その後成瀬巳喜男、増村保造、吉田喜重、木下恵介から森繁の駅前や社長シリーズ、クレイジーキャッツ、コント55号など喜劇のシリーズものなど、これも版権などの関係からか、どうもこのタイミングで次々と棚に並ぶようになった。

そのなかで、大映の市川雷蔵の作品も含まれていて嬉しい限りだ。「眠狂四郎シリーズ」や「関の弥太っぺ」などという初期の作品までもがDVDとなっている。そんな光景をみているうちに、嬉しさから軽いめまいがしてきたが、実は悪い病気かも知れない(笑)。

この間借りた、「ある殺し屋」は森一生監督、増村保造脚本で、和製堅茹で卵、じゃなくてハードボイルドの現代劇。普段は小料理屋の親父をやりながら実は冷徹でしかも確実な仕事をこなす凄腕殺し屋、塩沢役に雷蔵、ふとした縁で知り合い押しかけて居坐る娘、圭子に野川由美子、ヤクザで塩沢を慕う弟子入り志願の男、前田に成田三樹夫。主人の本当の姿を知らない純真な店の女給みどりに小林幸子。少々話が逸れるが、小林はまだ子役のころ出演した「座頭市二段斬り」(1965年、大映)で、劇中、市を道案内しながら「山王のお猿さんは~」とうたう歌がさすがに上手いのが印象的だった。市は少女の後ろを歩きながら一閃のもと敵を斬り捨てるのだが、少女は気づかずに歌を歌い続ける、というような心憎い演出だ。当時小林は12歳。ド派手な衣装で紅白歌合戦にでるような気配はさすがにまだない(笑)。この作品では二十歳前位にみえるが、67年の公開だからまだ14歳の筈。ほか殺しを依頼する親分に小池朝雄など。
圭子と前田は慕う振りをしながらこの塩沢を罠にはめようと大きいヤマを持ちかけるが・・・(映画のパンフ風)

しかし増村の脚本は、シーンの時間軸を前後させる斬新な映画的レトリックで、今見ても斬新で古びていない。

野川の小悪女ぶりもさることながら、特筆すべきは成田三樹夫の最後のセリフだ。
そもそも普通に考えれば雷蔵は線が細く成田のような男の迫力というものとは正反対の役者で、「ぼんち」(1960年、市川崑)のような若旦那風の役柄が似合う雰囲気なのだが、その立場が逆転したかのように成田の一枚も二枚も上手なこの作品での雷蔵の役柄設定を見ていると確かに底知れない迫力を感じるようになるのが不思議だ。眠狂四郎などのどこまで荒唐無稽でも身綺麗で様になる別の意味の迫力が奇妙に同居した希有な役者だったと思う。

さて、そのセリフ、「色と仕事の区別が出来ない男とは組まない。」(記憶が曖昧)と前田に言い捨てつつ去って行くどこまでもニヒルな塩沢。呆然と立ちつくす前田。その前田(成田)に走り寄る圭子(野川)に、たったいま聞いたばかりのセリフ「女は色と仕事の区別が付かないから困る」(これも記憶が曖昧です)と言い真似て去る前田。
さすがはミッキー、故成田三樹夫。素晴らしすぎる。ここで笑ってしまったが、この作品は雷蔵もさることながら、ミッキー成田の魅力を存分に楽しめる作品だ。撮影は宮川一夫。(1967年、82分)

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    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


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