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12 posts from October 2006

October 29, 2006

キッチンラーメンと荒木経惟 / 『東京人生』

東京人生SINCE1962

どうもまたまた週刊「月球儀通信」と化しているわけで、とりあえず保守エントリ。
両国の江戸東京博物館にて開催中の荒木経惟写真展にあわせてバジリコから刊行された写真集、「東京人生」は写真家、荒木経惟の仕事を通観するものだ。65年の出世作「さっちん」から最近の作品まで、荒木の写真家としての軌跡がよく分かる。

80年代中頃、小生が学生の時にいつものことながら授業には出ずたしか当時ニコンFM2の黒に28mmを肩にして荒木がデビューしたての頃に写真展を開いた銀座のキッチンラーメンにに行ったことがある。このキッチンラーメンは文字通りラーメン屋でベトナム麺というラーメンが名物だった。なんでベトナムなのかは分からないが、ニンニクが丸のままごろごろと入っているラーメンで、さすがに昼間だし(というのもよく分からないが)別の麺にしたが、見ていると殆どの客がベトナムを頼んでいた。そのキッチンラーメンも今はない。

もう10年ほど前に急にこの店を思い出して行ってみたが既になく、当時Niftyの掲示板で消息を尋ねたのだが、すぐ近くのビルの地下に移転して営業をつづけていると教えてもらい、早速その日の昼飯に同僚と行ったことがある。

江戸東京博物館ではこの荒木の作品を大型のスクリーンにスライド映写されるとのことで、時間を見つけていってみたい。

江戸東京博物館130-0015 東京都墨田区横綱1-4-1
会期: 2006年10月17日(火)~12月24日(日)

October 23, 2006

ウイリアム・クライン、大野一雄、土方巽


昨日のエントリの続き。舞踏家大野一雄の100歳の誕生日に伴って様々なイベントが催されているが、昨日は新宿東口のコニカミノルタプラザへ終了間近の写真展「舞踏家大野一雄写真展 「秘する肉体」」を観に行った。

47人の写真家が大野を被写体として撮影した写真展でモノクロ作品がほとんどだったが、なかでも細江英公の有名な作品のオリジナルプリントを観られたのが大きな収穫だった。計算しつくされ緻密に焼かれたモノクロのグラデーション、調色されたシャドウ部の豊富さ、非現実的なまでに濃厚なリアリティに圧倒されてしばらく我を忘れて見入ってしまった。

帰りに昨年横浜で行われたイベントで刊行された「大野一雄と土方巽の60年代」という小冊子を買ったが、そのなかに写真家ウィリアム・クラインへのインタビューがあった。クラインの作品「Tokyo」(1964年)の冒頭を飾る一枚はこうだ。土方は左手を右肘に添え、その右手は虚空を掴むかの如く五指を開いている。その顔は異様なほど黒く焼き込まれて表情は読みとれない。その傍らに異装の大野が古い家の陰で佇んでいる・・・

この写真が撮影されたのは61年、来日したクラインに土方と大野から撮影をして欲しいと頼んだという。クラインは当時この二人の前衛舞踏家を知らなかった。当初、稽古場で撮影しようとしたがどうも面白くない。そこで街に出て路上でのパフォーマンス、当時言うところの「ハプニング」を即興で演じたというのは興味を惹かれる。

大野が老男娼役を演ずる「ディヴィーヌ抄」の稽古で土方が大野に演出を付けていう、
  「先生、こうやって天を見て、神を冒涜してくれ。」
  「光に向かって残酷に死んで下さい、顔をゆがめて残酷に死んで下さい。」(同書24p)
この演出で吐かれる土方の言葉そのものが詩であり舞踏であるかのようだ。

October 22, 2006

大野一雄 / 生誕100年

大野一雄 美と力

舞踏家の大野一雄が今月2006年10月に満100歳を迎える。これに合わせ「大野一雄100歳の年総合プログラム」として各地で様々なイベントが行われるようだ。

まずは新宿高野4階のコニカミノルタプラザで10月14日から明日23日まで「舞踏家大野一雄写真展 「秘する肉体」」展が開催されている。大野を被写体とした写真家47人の競作だ。併せてクレオから写真集「秘する肉体―大野一雄の世界」(下記)が刊行された。

秘する肉体―大野一雄の世界

横浜のBankART Studioでは誕生日である10月27日(金)から29日(日)まで「大野一雄フェスティバル2006」を開催。

また、西麻布のイベントスペース、スーパー・デラックスでは10月24日にドキュメンタリー映画「リーラの遊びのなかで(Virginie Marchand's tribute to Kazuo Ohno)」を上映。

ほか、パリ、ニューヨーク、ボローニャで映像作品の上映などが行われるようだ。


大野一雄 魂の糧

■関連サイト
- 大野一雄舞踏研究所 http://www.kazuoohnodancestudio.com/japanese/top/
- コニカミノルタプラザ http://konicaminolta.jp/about/plaza/schedule/2006october/ohno/index.html
- **SuperDeluxe** http://www.super-deluxe.com/
- BankART1929 http://www.h7.dion.ne.jp/~bankart/


■関連エントリ
- 月球儀通信 : 『美貌の青空』『土方巽 夏の嵐 』 / 土方巽 

October 15, 2006

アスピリンと森敦


昨日、熱が出たからと言うわけでもないが、セイゴオ先生のサイト「松岡正剛の千夜千冊」を読んでいて書評「超薬アスピリン」(平澤正夫 2001年 平凡社新書」に出会った。なんでもアスピリンは1899年にドイツのバイエル社が発売して既に100年が経過しているが、その後本来の鎮痛・解熱という効能から脳卒中や心筋梗塞、狭心症などに効くことが分かった。これらの疾患は血液のなかの血小板が体内で凝固して引き起こされるものだ。アスピリンはその凝固を阻害して血液の流れを良くするということらしい。この効能は随分以前から分かっていたが日本では2000年に至って厚生省がようやくその抗血小板薬としての認可をした。
そればかりか、アルツハイマー症、骨粗鬆症、糖尿病、妊娠中毒、不妊、はては癌にも効果があるかもしれないということが分かってきたという。

そこでアスピリンに関する情報を集めてみたが、例えばこことかここなどはなかなか良くまとまっていて面白い。
これらに拠るとアスピリンを飲むことによって基礎代謝が10%上がるというのだ。つまり通常のカロリーを摂りながらプラス10%のカロリー消費となりこれはつまりアスピリンの服用がダイエットになるということを意味する。

しかし、ダイエットに薬を飲むというのは抵抗感があるし、どんな薬でも副作用があるはずで、薬学的知識のない一般人がいたずらに服用して取り返しのつかないことにならないとも限らないのではと思うが如何。

そういえば、作家の森敦のエッセイに、森は若いときから何十年もアスピリンを常用していたという文章を随分昔に読んだのを思い出して書棚を捜してみたが結局見つからなかった。そのことを医者に告げたら驚かれたというのだ。既にその当時、先の効能が知られていたのかも知れないが、作家と薬というのは太宰とカルモチンとか、どうも相性が良いらしい。

小生も一昨日からの風邪で熱が出ていたので、薬箱を捜してバファリンを飲んだ。バファリンはアセチルサリチル酸製剤でつまりアスピリンと同じ物質だが、昨日は森敦を思いながら床についた訳だ。少しはダイエットになったかも。


超薬アスピリン―スーパードラッグへの道

October 13, 2006

サチコの幸はどこにある

タイトルはエントリと全然関係ないのだけれど、昨日からお腹が痛くて朝も3時ごろから痛さに目が醒めてしまうほどだった。我慢して社に出たものの様子を見て退けようと思っていたが、結局一日仕事をしてしまった。
その間、腹痛ばかりか軽い吐き気から悪寒まで出てきて、この腹痛は風邪からだったのかと思い至って、夕方早めに帰宅した。

帰って熱を計ると38度も出ていて、普段基礎代謝低下しまくりで(笑)低体温の小生としては高熱の部類。医者に行こうかと思ったものの、以前掛かった医者で

「どうしました?」「先生、どうも風邪を引いてしまいまして。」「風邪かどうかは私が決めるんだよ。素人のあんたがなんで風邪と決めつけるの。」「・・・」「で、症状は?」「熱があって、喉が痛くて、咳が出て寒気がするんです。」「風邪ですね。」「・・・(やっぱり風邪かよ(怒)」

ということがあったりして(笑)、こんな風邪で医者に行っても抗生物質をもらうだけで薬は結局飲まないし、こんな不愉快な思いをこそすれ、無駄な時間を遣うだけならば行かない方がマシというものだ。

今日は借りていた映画「網走番外地 望郷篇」と「大魔神 怒る」でも観ながら家で休むことにいたします。


風邪の効用
風邪の効用

小生にとって風邪の効用とは仕事が休めること(苦笑)

October 11, 2006

森山大道 『 it 』 in RAT HOLE GALLERY

森山大道写真展 「it」が2006年10月13日から11月19日まで青山のRAT HOLE GALLERYで開催される模様。
RAT HOLE GALLERYはヒステリック・グラマーが運営するギャラリーらしい。そういえば、今月号のSTUDIO VOICE誌にも記事が出ていて気になっていた。ギャラリーのサイトは検索すると存在するもののまだ工事中だ。
その後、サイトはギャラリーのオープンに合わせ出来上がったようです。

ラットホール ギャラリー|RAT HOLE GALLERY
http://www.ratholegallery.com/index.html


森山のサイトによれば、「東京やヨーロッパなどのさまざまな都市で撮影されたスナップを中心に、ほぼすべてがこのギャラリーのために選ばれ初めて発表されるモノクローム作品」とのことで未発表作品が中心となっている。同時に作品集『it DAIDO MORIYAMA』(発行:RAT HOLE)の発売が告知されていて、価格も2000円と安価なので観に行ったら是非買い求めたい。

RAT HOLE GALLERY
107-0062 東京都港区南青山5-5-3 B1
Phone 03-6419-3581/ Fax 03-6419-3583


昼の学校 夜の学校
昼の学校 夜の学校

これは最近出版された森山大道と学生との一問一答による講義録。
小生も学生の振りをして聴きに行きたかった位だが・・・「さすがに学生とはちょっと無理があるよね(友人談)。」 ほっといて。

October 10, 2006

田中長徳 / 『トウキョウ今昔1966・2006』

トウキョウ今昔1966・2006

田中長徳の新刊「トウキョウ今昔1966・2006」は1966年当時19歳の田中が捉えた東京を2006年の今、同じ場所、同じアングルで写した写真集。昔とあまり変わらない風景に、66年には同じ場所で学生のデモが行われているというのは不思議な感覚だ。ライカ本ではない久々の田中の写真集プラスエッセイ。岩波から出ているのもチェック。丸の内線四谷駅などは全然昔と変わってないんですね。

October 09, 2006

とにかくMoleskineが欲しい

毎年、この時期になると来年の手帳をどうしようかと思い始めるのだが、調べてみると昨年も同じことを書いていたりして(笑)。もともと自分はスケジュールとメモを分けて使っていて、メモはバイブルサイズのシステム手帳から8穴のシステムダイアリーを経て、京大式のB6版情報カードへ、そして現在は5x3カードに落ち着いてもう何年も使っている。1件1葉、必ず日付を書くというルールを守ればあとはもうなんでも書く。カードの良いところは、一度作ったカードはいつまでも使えることだと思う。時間軸に沿ってリニアに書く普通のメモ帳ではこういう芸当が出来ない。

例えば、海外旅行のときの持ち物リストはもう5年以上も前に書いたものを旅行の度に使っていて、今ではかなり汚れてくたびれているが充分実用だ。最近では「座頭市シリーズリスト」とか「梶芽衣子出演映画リスト」なんぞを作って映画鑑賞のチェックに使ったり、会議中のいたずら書きから買い物リスト、仕事中に偶に頂戴する誰かの手みやげのお菓子を置く皿の替わりまで(笑)使いっぱなし。

随分前に付けていた夢日記もまだ取ってあるが、カードボックスから引っぱり出して見るとそのとき見た夢がリアルに思い出されることがある。
5x3カードは川喜多二郎のKJ法などの発想法にも向いているし、本来はそういう使い方の為に作られたものかも知れないが、そこまで本格的に応用しないまでも自分の体に合っているのかも知れない。

ところが、ところが・・・

随分前から気になっていたモールスキンを伊東屋で手に取った瞬間、漏れて、いや惚れてしまった。こういうのを一目見て恋に落ちるというのだろうか。

撥水性のある堅い表紙にしっかりと製本された用紙の手触り、おそらく使い込む程に手に馴れて風格が出てくるだろう質感。聖書や辞書のように肌身離さず使うことを想定してしっかりと作られた質実なノートだ。携帯時に容易に開かないよう止めるゴムバンドに、ちょっとしたものを入れておけるポケットが付いている。

これを触ってしまったらもう欲しくなってしまった。そう安くない値段も恋心をくすぐる。
まずは無地のベーシックなノートと、2007年の見開き1週間のダイアリーが欲しい。
でも今までのカードとの共存をうまく考えないと。少なくとも来年度のダイアリーはこれにしよう~っと。

Moleskine Pocket Diary Daily 2007
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Moleskine Pocket Diary Daily 2007
Moleskine Pocket Weekly 12mth Notebook 2007 Red Moleskine Ruled Notebook Moleskine Ruled Notebook Large Classic Moleskine Large Diary Daily 2007 Moleskine Pocket Weekly 12mth Notebook 2007
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October 08, 2006

【業務連絡】NHK時計とトラバスパム

NHKオンラインが配布するブログパーツ、NHK時計をサイドバーに貼ってみました。
随分昔から変わらないレトロな雰囲気の時計で、しばらく飽きるまで貼り付けておきますね。

それから、最近得体の知れないトラックバックスパムがまた来るようになって、来るたびに規制IPリストに加えているのですが、イタチごっこで全然減りません。一時収まってしばらくなかったのですが、どうも波があるようです。

そのため、一時的にコメントとトラックバックは管理人の承認まで公開されない仕様にしております。
様子をみて、解除したいと思います。

■関連サイト
- NHKオンライン「ラボブログ」:NHKブログ
http://www.nhk.or.jp/lab-blog/

October 05, 2006

三樹夫&雷蔵 / 『ある殺し屋』

ある殺し屋最近古い映画が続々とDVD化されているようだ。小津や黒沢の作品は随分前からDVDで作品集がでていたが、その後成瀬巳喜男、増村保造、吉田喜重、木下恵介から森繁の駅前や社長シリーズ、クレイジーキャッツ、コント55号など喜劇のシリーズものなど、これも版権などの関係からか、どうもこのタイミングで次々と棚に並ぶようになった。

そのなかで、大映の市川雷蔵の作品も含まれていて嬉しい限りだ。「眠狂四郎シリーズ」や「関の弥太っぺ」などという初期の作品までもがDVDとなっている。そんな光景をみているうちに、嬉しさから軽いめまいがしてきたが、実は悪い病気かも知れない(笑)。

この間借りた、「ある殺し屋」は森一生監督、増村保造脚本で、和製堅茹で卵、じゃなくてハードボイルドの現代劇。普段は小料理屋の親父をやりながら実は冷徹でしかも確実な仕事をこなす凄腕殺し屋、塩沢役に雷蔵、ふとした縁で知り合い押しかけて居坐る娘、圭子に野川由美子、ヤクザで塩沢を慕う弟子入り志願の男、前田に成田三樹夫。主人の本当の姿を知らない純真な店の女給みどりに小林幸子。少々話が逸れるが、小林はまだ子役のころ出演した「座頭市二段斬り」(1965年、大映)で、劇中、市を道案内しながら「山王のお猿さんは~」とうたう歌がさすがに上手いのが印象的だった。市は少女の後ろを歩きながら一閃のもと敵を斬り捨てるのだが、少女は気づかずに歌を歌い続ける、というような心憎い演出だ。当時小林は12歳。ド派手な衣装で紅白歌合戦にでるような気配はさすがにまだない(笑)。この作品では二十歳前位にみえるが、67年の公開だからまだ14歳の筈。ほか殺しを依頼する親分に小池朝雄など。
圭子と前田は慕う振りをしながらこの塩沢を罠にはめようと大きいヤマを持ちかけるが・・・(映画のパンフ風)

しかし増村の脚本は、シーンの時間軸を前後させる斬新な映画的レトリックで、今見ても斬新で古びていない。

野川の小悪女ぶりもさることながら、特筆すべきは成田三樹夫の最後のセリフだ。
そもそも普通に考えれば雷蔵は線が細く成田のような男の迫力というものとは正反対の役者で、「ぼんち」(1960年、市川崑)のような若旦那風の役柄が似合う雰囲気なのだが、その立場が逆転したかのように成田の一枚も二枚も上手なこの作品での雷蔵の役柄設定を見ていると確かに底知れない迫力を感じるようになるのが不思議だ。眠狂四郎などのどこまで荒唐無稽でも身綺麗で様になる別の意味の迫力が奇妙に同居した希有な役者だったと思う。

さて、そのセリフ、「色と仕事の区別が出来ない男とは組まない。」(記憶が曖昧)と前田に言い捨てつつ去って行くどこまでもニヒルな塩沢。呆然と立ちつくす前田。その前田(成田)に走り寄る圭子(野川)に、たったいま聞いたばかりのセリフ「女は色と仕事の区別が付かないから困る」(これも記憶が曖昧です)と言い真似て去る前田。
さすがはミッキー、故成田三樹夫。素晴らしすぎる。ここで笑ってしまったが、この作品は雷蔵もさることながら、ミッキー成田の魅力を存分に楽しめる作品だ。撮影は宮川一夫。(1967年、82分)

October 02, 2006

スチール、ブロマイドと『かもめ食堂』


本題に入る前にちょっと。昨日、中野ブロードウェイにある骨董品店のレジ近くにうずたかくおいてあるマルベル堂のブロマイドを見ながら、一緒に見ていた友人が「研ナオコかぁ。」と一言。みると若き日のピーターだった。しかし笑っちゃうほど似てるなぁ。これじゃ無理もないなと思いながらふと胸騒ぎがして下の方を捜してみると、な、なんと「修羅雪姫」のスチールが。梶芽衣子が不穏な表情で遠くを見ているシーンだ。迷うことなく即買いして、いま小さな額に入れて部屋に飾っております。狂喜乱舞。以上。
スチールには四隅に画鋲の跡があって、そういえば映画館の入り口にはよくこんな風にモノクロの一シーンがピンで止めてあった。まさにピンナップ。スチールって印刷ではなくちゃんと印画紙に焼いてあるんですね。

かもめ食堂 [DVD]荻上直子監督の「かもめ食堂」はフィンランドの首都ヘルシンキが舞台の群ようこ原作になる作品だ。
配役に小林聡美、もたいまさこ、片桐はいり。フィンランドといえばかのアキ・カウリスマキな訳だが、レニングラード・カウボーイズから「真夜中の虹」、「マッチ工場の少女」、「コントラクト・キラー」などかなり好きな監督。その独特な映画の「間」は日本映画に通じるところがあるとかねがね思っていたが、この「かもめ食堂」もそういう意味ではフィンランドの観客にも理解されるのではと思う。そのカウリスマキ「真夜中の虹」主演のマルック・ペルトラも出演して、やはりかなりカウリスマキを意識した脚本なのではないかと勘繰るが如何。
小林聡美はこういう役は合ってるね。以前みた福永武彦原作、大林宣彦監督「廃市」では原作での美しい姉妹が小林聡美と根岸季衣でイメージブッこわれた(ワタクシ的に)訳だが、当時84年に池袋文芸座ル・ピリエの初日舞台挨拶で見た小林はまだデビューしたてだった。この映画はそんな小林のために作られたような佳作。
劇中歌の井上陽水「白いカーネーション」が思い切り懐かしくて個人的にはこの歌で星1個追加。(2005年)

October 01, 2006

皮膚の記憶 / 石内都写真展 『mother's』

マザーズ2000‐2005未来の刻印


手・足・肉・体―Hiromi 1955写美、恵比寿の東京都写真美術館にて2006年11月5日まで、石内都の写真展「mother's」が開催されている。
亡くなった母親の遺品や生前の手、足、皮膚などをディテール細やかに撮影した写真と映像作品の展覧だ。

1979年の出世作「APARTMENT」、「絶唱 横須賀ストーリー」(1978年)、「連夜の街」(1981年)など街の持つディテールが荒い銀塩粒子に浮かび上がるような作品群から、詩人伊藤比呂美とのコラボレーション「手・足・肉・体」(1995年)、「1・9・4・7」(1990年)、「さわる Chromosome XY」(1995年) 、フォトエッセイ集「キズアト」(1995年)、ツァイト・フォト・サロンでの展覧会 「イノセンス」(1995年)、など人間の皮膚のマチエールへとモチーフが移って来ているように見えるが、横須賀の街や赤線跡の建物のディテールも人間の皮膚も、それぞれが街や人間の記憶を細部に宿らせるいわば「時間の堆積」という点で共通した視線なのだった。
小生が所持している写真集「連夜の街」(朝日ソノラマ)を見ても分かるように、既にその視線は建物の壁や階段の手摺りなどのディテールへと向かっており、街を突き抜けて人の皮膚、その延長としての衣装や持ち物へと移りはしてもその根底にはミース・ファンデルローエの言葉「神は細部に宿る God is in the details.」を引くまでもなく、圧倒的なまでの存在感をもって目の前に突きつけられる。まるでさざ波のような皮膚や手術痕が普段語られることのない個人の記憶をこれほどまでに語っていることに気づかされて、大判に引き延ばされたモノクロ作品の前にはただ佇むほかはない。昨年開催された第51回ヴェネツィア・ビエンナーレの日本館ではこの「mother's」が展示された。モノクロームの美しさと同時にコンセプチュアルで明確な方向性を持つ数少ない作家として今後も目が離せない。

爪

キズアト


■関連記事
- 月球儀通信 : 写真集 『連夜の街』 / 石内都

■関連サイト
- 東京都写真美術館

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  • Gangs of Kabukicho.
    渡辺克巳

    097154803X
    新潮社フォトミュゼの「新宿」が絶版となっているなかで最近刊行された渡辺克巳の最新写真集。洋書。



    先般亡くなった路上の写真家、渡辺克巳の写真集。インサイダーとして夜の新宿を流した彼の生の証はその写された人々と共に永く記憶されるべき。


    ジャパン
    倉田 精二
    4106024330
    渡辺克巳とくれば倉田精二を挙げずにはいられない。日本のウィージーと言われたストリートフォトの神髄。都市の殺伐と虚像をこれほど表現した写真はない。

    にっぽん劇場写真帖
    寺山 修司・森山大道
    4106024187
    寺山と森山のコラボレーションは「あゝ、荒野」以前にもこの作品で既に成就していた。68年刊のこの作品は強烈なコントラストとイメージで時代を色濃く表現している。腰巻きの惹句「奇才ふたりが火花を散らすイメージ地獄巡り」も凄いが、天井桟敷率いる寺山へぶつける森山の渾身の「返歌」が熱い。中平卓馬がカメラを構える有名なショットもあり。これを見ずに森山は語れない。


    奈良原の写真は既に絶版になった朝日新聞社の「昭和写真全仕事」を所有しているが、トラピスト修道院に取材した「沈黙の国」「人間の土地」「消滅した時間」などパースを駆使した知的で静謐な写真は独特の美。「無国籍地」は廃墟をモチーフにした写真集。その圧倒的な画面の構成美を。

    Cui Cui
    川内 倫子
    4902943026
    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


    この間東京都写真美術館で行われた回顧展で再び植田の仕事が再評価されている。砂丘シリーズに代表されるこのモダニズムはいつまでも古びない。

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