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October 01, 2006

皮膚の記憶 / 石内都写真展 『mother's』

マザーズ2000‐2005未来の刻印


手・足・肉・体―Hiromi 1955写美、恵比寿の東京都写真美術館にて2006年11月5日まで、石内都の写真展「mother's」が開催されている。
亡くなった母親の遺品や生前の手、足、皮膚などをディテール細やかに撮影した写真と映像作品の展覧だ。

1979年の出世作「APARTMENT」、「絶唱 横須賀ストーリー」(1978年)、「連夜の街」(1981年)など街の持つディテールが荒い銀塩粒子に浮かび上がるような作品群から、詩人伊藤比呂美とのコラボレーション「手・足・肉・体」(1995年)、「1・9・4・7」(1990年)、「さわる Chromosome XY」(1995年) 、フォトエッセイ集「キズアト」(1995年)、ツァイト・フォト・サロンでの展覧会 「イノセンス」(1995年)、など人間の皮膚のマチエールへとモチーフが移って来ているように見えるが、横須賀の街や赤線跡の建物のディテールも人間の皮膚も、それぞれが街や人間の記憶を細部に宿らせるいわば「時間の堆積」という点で共通した視線なのだった。
小生が所持している写真集「連夜の街」(朝日ソノラマ)を見ても分かるように、既にその視線は建物の壁や階段の手摺りなどのディテールへと向かっており、街を突き抜けて人の皮膚、その延長としての衣装や持ち物へと移りはしてもその根底にはミース・ファンデルローエの言葉「神は細部に宿る God is in the details.」を引くまでもなく、圧倒的なまでの存在感をもって目の前に突きつけられる。まるでさざ波のような皮膚や手術痕が普段語られることのない個人の記憶をこれほどまでに語っていることに気づかされて、大判に引き延ばされたモノクロ作品の前にはただ佇むほかはない。昨年開催された第51回ヴェネツィア・ビエンナーレの日本館ではこの「mother's」が展示された。モノクロームの美しさと同時にコンセプチュアルで明確な方向性を持つ数少ない作家として今後も目が離せない。

爪

キズアト


■関連記事
- 月球儀通信 : 写真集 『連夜の街』 / 石内都

■関連サイト
- 東京都写真美術館

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