Flickr


  • www.flickr.com

exhibition

« August 2006 | Main | October 2006 »

10 posts from September 2006

September 30, 2006

増村保造 / 『大地の子守歌』

勝新太郎のシリーズ「兵隊やくざ」の最終作品である「兵隊やくざ 火線」(1972年)は何故かどうしても見つからずに未見のままだ。シリーズは最近DVD化されたもののこの作品だけが何故か漏れている。他はすべてモノクロ作品だがこれだけはカラー。監督は増村保造なのだが、増村の作品はこれまた最近(でもないが)作品集がDVDで出ているものの、残念ながら兵隊やくざは収録されていない。なにか権利関係でもあるのだろうか。

代わりに、といっても全然テイストが違うが、この増村の監督になる原田美枝子主演「大地の子守歌」を観た。
原田は当時18歳。山奥で祖母と暮らしていたがその祖母が亡くなり一人残された13歳の少女は騙されて島の女郎屋に売られる。誰一人として他人を信じず自分だけを頼みに過剰なほどに強く生きてゆく少女はやがて病が元で失明する。年季が明けるほど前に置屋から逃げ、浜で出会った牧師に助けられ、一人遍路となって巡礼に出る。
冒頭、遍路となった少女に善根のため握り飯を施す老婆に田中絹代、初潮を迎えうろたえる少女をやさしく助ける島の女に梶芽衣子、牧師に岡田英次。
牧師に助けられ島を抜け出すために乗った小舟で牧師に泣きながら礼を言うシーンが印象的だ。
原田の演技は過剰すぎるほどのまさに体当たりで、それが遍路での静けさとのコントラストを際立たせている。希望のないその後の運命を思うと胸が詰まるようだ。76年度ブルーリボン賞作品賞受賞作品。(1976年、111分、松竹)

September 26, 2006

拓郎、圭子、天井桟敷

この間のエントリで、夏純子主演の映画「女子学園 ヤバい卒業」(1970年、沢田幸弘)がしょうもない作品ながら実は当たりだったと書いたその続き。

内容はまぁどうと言うこともないドタバタの学園もので、最後はケーキ投げで収拾がつかなくなるようなB級作品。それでも一応シリーズもので「ヤバい卒業」は2作目。ちなみに1作目は「女子学園 悪い遊び」、3作目は「女子学園 おとなの遊び」だ。内容はともかく、題名で観客を動員しようという見え透いた意図のキャッチーなタイトルだ(笑)
岡崎二郎、松原智恵子、藤竜也、江守徹、中尾彬などが出演している。三作も作られるというのはそれでも当時ある程度の人気があったということか。

さて、当たりの理由。
まずは冒頭、夏純子ら女子高生が街を歩くシーン、背景には今はなき渋谷の天井桟敷館が。
渋谷に天井桟敷館が作られたのは1969年だ。寺山修司率いる実験演劇の「天井桟敷」の小屋だったが、その奇抜なデザインは70年代のアングラシーンを代表するものだった。これが当時の風景として見られるのは幸せ・・・

次は劇中、藤圭子の「演歌の星」のテレビ収録シーンが出てくること。
当時の映画によくあった、話には全然関係なく単にサービスで当時の売れっ子歌手が唐突に歌いだすというようなシーンだ。一応、テレビ局に遊びに行くという設定で、藤は「女は恋に生きてゆく」を一曲歌い、感激した岡崎が楽屋を訪ねるが藤に水を掛けられるというオチまであり。このシーンには藤は出てこない。

もう一つ。
なんと、デビュー前の吉田拓郎が街の公園でギター片手に「青春の詩」を歌うシーンがあることだ。
この映画は、まだ若くてあか抜けない感じの拓郎が出演しているだけで、それ以外になにもいらない貴重すぎる作品となった。
もしこの作品を見つけたら、題名がちょっと恥ずかしいからといって(笑)臆することなく、ソッコーで借りるべし。


大沢在昌 / 『狼花 新宿鮫IX』

狼花  新宿鮫IX一昨日の新聞広告に光文社から大沢在昌の新宿鮫シリーズ最新刊、「狼花」が出ているのを発見し即購入、読了。前にも書いたが、大沢の作品は気合いの入った作品と書き飛ばした作品の差が顕著で、何作かはワタクシ的には外れだったが、さすがに看板シリーズだけあってこの新宿鮫の最新刊は力の入れようもなかなかで堪能した。

そういえば、原リョウはどうしているのだろうか。この間の「愚か者死すべし」では、その後の連作を期待させたもののその後音沙汰がないが。

September 23, 2006

渡辺克巳写真集 / 『歌舞伎町(Gangs of Kabukicho)』

Gangs of Kabukicho.

写真集を専門に扱うネットショップ「shelf」を何気なく見ていると、先頃亡くなった新宿の流しの写真家、渡辺克巳の新刊が出ているのを発見した。(渡辺については下記のエントリを参照下さい。)
題名は「歌舞伎町」。サイトの内容説明によると、160p 155葉、 3000部限定、作品は64歳で亡くなる直前に焼かれたプリントとのことで、既に新潮社のフォト・ミュゼの在庫が切れていることもあって渡辺の写真集が入手出来るのは嬉しい。しかし、サイトを見ても出版社などの情報がなく、Webでもなにもヒットしないのは何故か。
しばらくサイトを逍遙していたが、果たしてこれが洋書だったことが分かった。

Gangs of Kabukicho.
Photographs by Watanabe Katsumi.
PPP Editions, New York, 2006. 160 pp., 155 duotone illustrations, 8x11½".

現時点でamazon.comやamazon.co.ukにもまだエントリがないが、いくつかの海外のサイトで扱っているようだ。(追記:amazon.comで取り扱いを始めたようです。)
テキストは日本語、英語併記。

■関連エントリ
- 月球儀通信 : 【訃報】 路上の写真家、渡辺克巳死去
- 月球儀通信 : 渡辺克巳 / 『新宿群盗伝伝』(ヤゲンブラ選書)

September 18, 2006

独立プロ / 家城巳代治『姉妹』

60~70年代のB級映画ばかり見ている昨今、ここ最近観たのはこんなラインナップだ。

  ・網走番外地(1965年、石井輝男) 高倉健
  ・続 網走番外地(1965年、石井輝男)
  ・かえるのうた(2005年いまおかしんじ)
  ・亡八武士道(1973年、石井輝男) 丹波哲朗、ひし美ゆり子
  ・女子学園 ヤバい卒業(1970年、沢田幸弘) 夏純子
  ・父と暮らせば(2004年、黒木和雄) 宮沢りえ
  ・姉妹(1955年、家城巳代治) 野添&中原ひとみ
  ・野良猫ロック ワイルド・ジャンボ(1970年、藤田敏八) 梶芽衣子
  ・ある殺し屋(1967年、森一生) 市川雷蔵

などなど。
石井輝男の網走番外地は何故か今まで観ていなかったのでこれから順繰りに。「女子学園 ヤバい卒業」は夏純子主演、ほか応蘭芳などが出演している。題名がいかにもなB級テイストを醸し出しているものの内容はなんということのない学園ものだ。しかし「ヤバい卒業」ですからね。このアングラ感に眩暈。
しかしこれは作品の出来とは関係なく実は別の意味で大当たりだった作品だ。その理由は後ほど別エントリで。

さて、こんなサブカルテイストの作品のなかに埋もれるようにしてみた家城巳代治の「姉妹」はまるで空気の淀みきった地下から(笑)さわやかな地上へ飛び出したかのような美しい映画だった。しかし扱われているテーマはダムの労働争議や貧困などのいわゆる社会派的視点とヒューマニズムだ。
野添ひとみと中原ひとみの姉妹が綺麗で、特に中原ひとみは当時19歳でこのころから女優活動を開始している。しかし、妹役の中原は19歳とは見えずまだ中学生のような初々しさ。夫の江原真二郎と家族で歯磨き粉の宣伝をしていたのが思い出されるが(これまた古い。)、そのセリフの言葉遣いに当時の女学生らしい清潔な感じが出ていて今の妙な若者言葉を思うと、随分いろいろな貴重なものが人知れず失われていることに思い至って感慨深い。

September 11, 2006

石井輝男 『怪談 昇り竜』と『阿曽山大噴火』

裁判大噴火この間のエントリの北尾トロ「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」で世に傍聴マニアなるものの存在を知ったが、その後、例のホリエモン裁判で傍聴人へのテレビインタビューを、何ともまぁ異様な風体の男が受けていてテロップに裁判傍聴回数8000回を超える傍聴マニアと。ホリエモンが馴れないネクタイを直した回数は何回だったというようないかにも傍聴マニアらしい視点で少々嬉しくなってしまったが、この人、実は大川豊興業所属の「阿曽山大噴火」という芸人だったことが後で判明。しかし、なんちゅう名前か。いかにも大川総裁が付けそうな名前ではあるが。しかしこの人、この傍聴趣味で本まで出しているとは侮れない。ちなみに阿蘇山ではなく阿曽山だ。ややこし。
- 阿曽山大噴火 プロフィール (大川豊興業サイト)


梶芽衣子の作品は「曽根崎心中」で一旦離れようと思っていたが、大事な一本を忘れていた。
石井輝男の「怪談 昇り竜」だ。石井輝男と言えばその独特なサブカルテイストでコアなファンが多いが、この作品ももうなんとも形容しがたいカルトぶり。大体、怪談であることの必然性は全然なく、しかしこの必然性というものを言ってしまってはこの監督の一部も楽しめないというサブカル映画の踏み絵的監督だ。冒頭の殺陣シーンから血を啜る猫の登場。だがその猫の怨念はその後の話の筋には全然関係なくなってしまったりする。そもそもプロットは関東立花組の女組長、立花明美(梶芽衣子)が出入りで相手の組長の娘の目を切ってしまい、その娘の血を啜る猫は明美を襲う。刑務所にいる間も猫の悪夢に悩まされ、出所し組に戻った後も組員が猫の・・・・いや、もう筋書きを書いたところでどうしようもないので省略するが(笑)、ホキ徳田演じる盲目の刺客藍子が不気味でクールな味を出している。この役は座頭市のオマージュというよりパロディだろう。その藍子を慕うせむし男の土方巽は半ば石井作品の常連で、カルト的アングラ風味を嫌が応にも盛り上げる。かの暗黒舞踏の土方ともあろうお方がこんな刺し身のツマみたいな役を演っているというのも驚きだが、考えてみれば梶、加藤嘉、佐藤允、内田良平、安部徹などの手だれた役者を揃えて荒唐無稽、自由奔放な作品世界に引きずり込んでしまう石井はやはり言うまでもなく非凡で、こういう天才肌の監督はそうそう出ないだろう。
内田良平演ずる山高帽の親分も特異なキャラクタで、山高帽にステッキ、しかし下半身は赤フンドシ一丁といういでたち。しかも話の筋にはまるで関係ないという、一体どういう意図があるのか分からないところがまさしく石井調だ。
昭和30年代から40年代の邦画に頻出していた役者、砂塚秀夫も軽い三下ぶりを遺憾なく発揮していて嬉しくなる。梶はこの時期、少しふっくらしているが、棒読みのような変な間の仁義が聴きもの。改めて梶と石井輝男に惚れ直した一作。(1970年、85分、日活)

September 09, 2006

生身の文楽 / 増村保造 『曽根崎心中』

最近気が付くとエントリの書き出しに久しぶりだの間を開けてしまっただのと言い訳がましくて嫌になるがまたエントリに間を開けてしまった・・・。こういうのを間が抜けるというのだろうか。などと思いながら締切間近の仕事場でいまこんなエントリを書いているのは、試験の前日に何故か普段やりもしない本棚の整理などをしてしまう心理に近いかも知れない。
ここ最近、仕事場のベンダーコーナーにドクターペッパーが入るようになっていて、折しも遠藤哲夫さんのblogの記事をみて懐かしくなり買ってみた。発売された当時初めて半分ほど我慢して飲み残りを捨ててから実に30年ぶりだ。そうそう、こんな味だった。確かに美味くはないがそれほどでもないかも。しかし甘ったるくてやっぱり半分飲めずに発売当時のテレビCM「ドークター、ペッパーーっ♪」などと口ずさみながら捨てた(笑)。勿体ない。当時キャンペーン企画にかかわったというエンテツさんの記事はその辺りの事情が面白い。しかし担当が左遷されていたなんて。

このところ続いていた梶芽衣子三昧も増村保造監督、宇崎竜童との競演の「曽根崎心中」を観てそろそろ仕上げ。近松原作、人形浄瑠璃の古典を映画化したこの作品は、遊女お初と醤油商の手代徳兵衛がならぬ恋と貸した金を逆手に取られあらぬ濡れ衣を着せられてじわじわと死出の旅へと追いつめられ心中に至るまでを描いているが、足下に徳兵衛を匿いながら悪役の九平次に向かい切々と無実を訴え、問いつめる長セリフの梶が美しい。九平次演ずる橋本功の舞台演劇を彷彿とさせる過剰な下品さ、梶や宇崎のあたかも人形が話すようなセリフ回しも上手い演出だ。それが露天神の森での情死シーンは正視し難いほどのリアルさで、このコントラストが効果的な映画手法となっている。
しかし、女囚シリーズやその他の作品では殆どない彼女のセリフがやっと聴けたと言う感じ。宇崎はその後この主題をロックやフラメンコなどにアレンジして発表している。梶芽衣子の映画については後で総括を。(78年、112分、ATG)


September 04, 2006

『出版業界最底辺日記』と『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』

新宿東口の雑踏をすり抜けながら紀伊国屋へ向かうと、その周囲は随分様変わりしたが紀伊国屋ビルだけは昔と相も変わらず、大島渚の「新宿泥棒日記」(1969年、ATG)のなかで横尾忠則が美術書を買い求めるシーンの紀伊国屋と殆ど変わらないのを思い出して、一瞬今ここが70年代なのではないかという錯覚にとらわれる。高校生あたりからもう随分長いことここで酔っぱらい、始発を待って夜を明かし、服を買い、映画を観て過ごした新宿は相変わらず汚くて危なっかしくて猥雑で、それだからこそ今でも降り立つと不思議と力が出てくる。人は変わっているがそこにいる人たちはいつも同じ。そんな感じだ。
そういえば今は南口が再開発されて人通りも多くなり明るくなっているが、東口から南口へと続く新宿名画座がある通り(カメラ好きにはラッキーカメラのあると言えば分かりやすいかも知れないが)はつい昔には夕方ともなるとかなり薄暗く、ヒゲの生えたおネエさん方がすれ違いざま「遊んでかない?」などと客を引いていたものだ。
一度友人と、あの客引きにもしこちらが興味を示したとしたら一体どうなるのか、という話で激論となり(笑)、あのおネエさんはフリーランスで彼女(?)自身が相手になるのだという説から、いやあれは単なる客引きで、それは恐ろしい店に連れて行かれ身ぐるみ剥がれて翌朝には裸で道に放り出されているのだ、などと今話題のハンカチ王子、早実の斉藤クンなどが聴けば軽蔑間違いなしの同じ高校生とは思えない話題で盛り上がっていたが、その後、突っ走り気味の友人が実際に路上で確認したと聞いて皆仰天した。話によればどうも前者のフリーランス説だったらしいが本当に訊いたのかは怪しいものだ。しかし暗がりだし酔って勘違いするオジサンがいたのだろうか、信じられないよな、などと言いながら、そのままルイードで知り合いのバンドがライブをやるなどという話題になったりした。ゴールデン街近くの四季の道でも袖を引かれて往生したことがあり大学生の先輩に「コイツまだ高校生だから。」などと助けてもらったことがあって、いま考えるとどう見ても子供なのに随分な客引きだと思う。

昨日はそんなことを思い出しながら歩行者天国を突っ切り二階の文庫コーナーへ。(枕が長い。)

塩山芳明の「出版業界最底辺日記」(ちくま文庫)と北尾トロ「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」(文春文庫)の新刊二冊を購入。

塩山の「出版業~」は大人向漫画の下請け編集者の日記。最近では当たりの部類だ。歯に衣着せぬ物言いを実名で快刀乱麻(かどうか)、アクの強さが身上のまさに「嫌われ者の記」。バブル後の業界の衰退や規制強化のなかでしたたかに生き延びる下請けの意地。大手出版社の編集者との掛け合いなど秀逸。事務所が神保町にあってなじみの店が出てくるが、小生贔屓の店(例えば飲食店)がコキ降ろされているのを読んで思わず苦笑したがここまで言えば返って小気味良いかも。
この人、邦画を中心とした映画の趣味が小生と殆ど重なっていて一風変わった映画ガイドとしても読ませてもらった(いや、今通読中。)編集は南陀楼綾繁。

北尾トロの「裁判長~」は裁判を野次馬的視線で片端から傍聴してゆくという著者の得意とする体験取材で、いつもながらの等身大のルポルタージュだ。最初は右も左も分からない裁判も通い詰めるうちに次第にその仕組みや傍聴の勘所が分かってくる。そのうち、裁判傍聴を趣味とするいわば傍聴マニアの存在というものが次第に明確になりついには巻末に傍聴サークルメンバーとの座談会まであって笑える。こんな趣味のジャンルがあるとは世の中いくつになっても知らないことだらけだと思うが、しかしどの世界でもマニアとは切実で滑稽な存在だ。文庫版解説は角田光代。

出版業界最底辺日記―エロ漫画編集者「嫌われ者の記」
出版業界最底辺日記―エロ漫画編集者「嫌われ者の記」

裁判長!ここは懲役4年でどうすか
裁判長!ここは懲役4年でどうすか

September 03, 2006

カメラの匂い

少々変な話ではあるが・・・カメラには機能、デザインと並んで実は匂いという要素がある、と思う。などと言うとカメラマニアの戯れ言、変態的偏愛嗜好などと言われるかも知れないが、その通りで返す言葉がない(笑)。
カメラを構えるときに光学ファインダーを(光学などとわざわざ言わなければならない今日この頃)覗くと、自然と裏蓋に鼻が来てそこはかとなく香るカメラの匂い。金属と塗料、そして表面に張られた皮やグッタペルカの香りといってしまえばそれまでだが、この香りが緻密に詰まった内部のメカニカルを想像させてグッと来てしまうことがよくある。
ことに中古カメラにはその香りに恐らく内部のグリスの劣化やほのかな金属のサビが加わって、得も言われぬ香りが醸し出されていることがあって、ショーケースからカメラを出して貰い、シャッターや巻き上げなどを確認するフリをしてコッソリ匂いを確かめることがよくある。不審に思われないよう飽くまでもコッソリとだ。そうやっているうちにマウント蓋や裏蓋を開けて思い切り匂いを確認したくなる衝動に駆られたりする。そんなことをすると多分店の人に変態扱いされるに違いない。出入り禁止の上、翌日から「匂いフェチのかたお断り」などと紙が貼り出されているかも知れない。
以前購入したローライコードには皮製のカメラケースが付属していたが、前の持ち主が恐らくこの皮を手入れした際に塗り込んだ皮革クリームの香りの、外国のしかも古い時代の得も言われぬ匂いに郷愁を感じてしまった。
ロシアや中国のカメラにはこれまた独特の香りがある。

この匂いが最近の銀塩でもデジタルでも薄くなっているような気がして残念だ。
表面がプラスチックになっているからだろうし、内部も金属の使用が極端に減っているからだろう。
焼き付け塗装という技術も、もう使われなくなっているのかも知れない。

書痴、書物偏愛などという言葉を語るとき、必ず古書の持つ匂いについて触れられたりするが、これはカメラにも当てはまる。しまいにエスカレートしてカメラ店でいきなりカメラを舐めたりしないよう今から気を付けなくちゃ(笑)。

両手を伸ばして液晶を眺めるデジタルカメラではカメラの匂いはなかなか嗅げませんよ(笑)
第一、そんな構えでは手ブレしますし。あ、手ブレ補正でしたか・・・

September 01, 2006

目玉はなぜ親父なのか~ゲゲゲのルーツ

墓場鬼太郎 (1)またまたエントリに間を空けてしまった。ちょっと気を許すとすぐこのていたらく、と思いながらいま電車に乗っている訳だけれど、ふと中吊り広告をみると文庫の新刊が。水木先生の「墓場鬼太郎」だ。のちのゲゲゲの元となったオリジナルで貸本時代の傑作だ。テレビのソフィスティケートされた鬼太郎とは違い、オリジナルはおどろおどろしている。
この作品を描いている途中で版元といざこざがあって、その後この作品が別の作者に引き継がれたというのは割と有名な話。従って、鬼太郎には作者を異にする別バージョンがある訳だ。

どうして目玉は鬼太郎の親父なのか、ご存知ですか?

« August 2006 | Main | October 2006 »

NAVIGATION

GALLERY


  • Gangs of Kabukicho.
    渡辺克巳

    097154803X
    新潮社フォトミュゼの「新宿」が絶版となっているなかで最近刊行された渡辺克巳の最新写真集。洋書。



    先般亡くなった路上の写真家、渡辺克巳の写真集。インサイダーとして夜の新宿を流した彼の生の証はその写された人々と共に永く記憶されるべき。


    ジャパン
    倉田 精二
    4106024330
    渡辺克巳とくれば倉田精二を挙げずにはいられない。日本のウィージーと言われたストリートフォトの神髄。都市の殺伐と虚像をこれほど表現した写真はない。

    にっぽん劇場写真帖
    寺山 修司・森山大道
    4106024187
    寺山と森山のコラボレーションは「あゝ、荒野」以前にもこの作品で既に成就していた。68年刊のこの作品は強烈なコントラストとイメージで時代を色濃く表現している。腰巻きの惹句「奇才ふたりが火花を散らすイメージ地獄巡り」も凄いが、天井桟敷率いる寺山へぶつける森山の渾身の「返歌」が熱い。中平卓馬がカメラを構える有名なショットもあり。これを見ずに森山は語れない。


    奈良原の写真は既に絶版になった朝日新聞社の「昭和写真全仕事」を所有しているが、トラピスト修道院に取材した「沈黙の国」「人間の土地」「消滅した時間」などパースを駆使した知的で静謐な写真は独特の美。「無国籍地」は廃墟をモチーフにした写真集。その圧倒的な画面の構成美を。

    Cui Cui
    川内 倫子
    4902943026
    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


    この間東京都写真美術館で行われた回顧展で再び植田の仕事が再評価されている。砂丘シリーズに代表されるこのモダニズムはいつまでも古びない。

Blog People

無料ブログはココログ

search


  • Google

thank you!