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September 11, 2006

石井輝男 『怪談 昇り竜』と『阿曽山大噴火』

裁判大噴火この間のエントリの北尾トロ「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」で世に傍聴マニアなるものの存在を知ったが、その後、例のホリエモン裁判で傍聴人へのテレビインタビューを、何ともまぁ異様な風体の男が受けていてテロップに裁判傍聴回数8000回を超える傍聴マニアと。ホリエモンが馴れないネクタイを直した回数は何回だったというようないかにも傍聴マニアらしい視点で少々嬉しくなってしまったが、この人、実は大川豊興業所属の「阿曽山大噴火」という芸人だったことが後で判明。しかし、なんちゅう名前か。いかにも大川総裁が付けそうな名前ではあるが。しかしこの人、この傍聴趣味で本まで出しているとは侮れない。ちなみに阿蘇山ではなく阿曽山だ。ややこし。
- 阿曽山大噴火 プロフィール (大川豊興業サイト)


梶芽衣子の作品は「曽根崎心中」で一旦離れようと思っていたが、大事な一本を忘れていた。
石井輝男の「怪談 昇り竜」だ。石井輝男と言えばその独特なサブカルテイストでコアなファンが多いが、この作品ももうなんとも形容しがたいカルトぶり。大体、怪談であることの必然性は全然なく、しかしこの必然性というものを言ってしまってはこの監督の一部も楽しめないというサブカル映画の踏み絵的監督だ。冒頭の殺陣シーンから血を啜る猫の登場。だがその猫の怨念はその後の話の筋には全然関係なくなってしまったりする。そもそもプロットは関東立花組の女組長、立花明美(梶芽衣子)が出入りで相手の組長の娘の目を切ってしまい、その娘の血を啜る猫は明美を襲う。刑務所にいる間も猫の悪夢に悩まされ、出所し組に戻った後も組員が猫の・・・・いや、もう筋書きを書いたところでどうしようもないので省略するが(笑)、ホキ徳田演じる盲目の刺客藍子が不気味でクールな味を出している。この役は座頭市のオマージュというよりパロディだろう。その藍子を慕うせむし男の土方巽は半ば石井作品の常連で、カルト的アングラ風味を嫌が応にも盛り上げる。かの暗黒舞踏の土方ともあろうお方がこんな刺し身のツマみたいな役を演っているというのも驚きだが、考えてみれば梶、加藤嘉、佐藤允、内田良平、安部徹などの手だれた役者を揃えて荒唐無稽、自由奔放な作品世界に引きずり込んでしまう石井はやはり言うまでもなく非凡で、こういう天才肌の監督はそうそう出ないだろう。
内田良平演ずる山高帽の親分も特異なキャラクタで、山高帽にステッキ、しかし下半身は赤フンドシ一丁といういでたち。しかも話の筋にはまるで関係ないという、一体どういう意図があるのか分からないところがまさしく石井調だ。
昭和30年代から40年代の邦画に頻出していた役者、砂塚秀夫も軽い三下ぶりを遺憾なく発揮していて嬉しくなる。梶はこの時期、少しふっくらしているが、棒読みのような変な間の仁義が聴きもの。改めて梶と石井輝男に惚れ直した一作。(1970年、85分、日活)

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    渡辺克巳

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    新潮社フォトミュゼの「新宿」が絶版となっているなかで最近刊行された渡辺克巳の最新写真集。洋書。



    先般亡くなった路上の写真家、渡辺克巳の写真集。インサイダーとして夜の新宿を流した彼の生の証はその写された人々と共に永く記憶されるべき。


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    奈良原の写真は既に絶版になった朝日新聞社の「昭和写真全仕事」を所有しているが、トラピスト修道院に取材した「沈黙の国」「人間の土地」「消滅した時間」などパースを駆使した知的で静謐な写真は独特の美。「無国籍地」は廃墟をモチーフにした写真集。その圧倒的な画面の構成美を。

    Cui Cui
    川内 倫子
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    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


    この間東京都写真美術館で行われた回顧展で再び植田の仕事が再評価されている。砂丘シリーズに代表されるこのモダニズムはいつまでも古びない。

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