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August 25, 2006

森山大道 / 『25時 shinjuku, 1973』

隅田川にかかる清州橋のほとり、清澄の巨大な倉庫の業務用エレベータを上るといくつかのギャラリーを集めたフロアがある。その一つ、タカイシイギャラリーで展示中の映像作品、森山大道の「shinjuku 1973. 25pm」を観に行った。
先日このblogでも書いたようにこれを観ようとここを訪れたのだが、日曜日やお盆の休廊で二度も引き返し、今日三度目の正直で漸く観ることが出来た。

エレベータを降り、ギャラリーに入るや、なんと森山大道その人が目の前におられて心底吃驚した。

吃驚したというより、夢でもみているのかと衝動的に頬をつねりたくなった。高校生の頃に現代カメラ文庫「遠野物語」に出会ってからまさしく森山に影響され続けた、そのご本人を目の前にして一体どうしろというのだろう。たたずむほかないでなはないか。小生がぼーっとしているうちに若いギャラリースタッフとひとしきり談笑されてから、足早に出ていかれた。その颯爽とした振舞いに森山の作品のいくつかが思い浮かんで、一瞬彼のスナップの核心に触れたような気がした。
荒木経惟や田中長徳には新宿や銀座で幾度となく擦過しているが(このお二人、本当によく見かけます。)、森山ご本人を目の前にするのは初めてだ。二度の休廊での引き返しはこのためだったのかと思いもした。神の采配で神に出会ったということだろうか。ちょっと取り乱しています。

作品はまさしく森山の写真が映像作品となったかのような、アレ・ブレ・ボケのコンポラ調そのものだった。深夜の新宿を8mmビデオで手持ち撮影したもので、73年当時の新宿の光芒がアウトフォーカスの画面をのなかで激しく揺れ、終始かぶる映像ノイズとエンジン音やクラクションのシークエンスは、あたかもJAZZのインプロヴィゼーションを聴くような感興を起こさせる。もともと新宿区が区のプロモーション用として森山に撮影を依頼したものの、完成したこの作品が「どこの国かわからない、国籍不明の映像だったため」(ギャラリー解説より)未公開のまま眠っていた、ということだが、プロモーションとしての依頼でさえも映像表現の前で自らの世界観に妥協しない森山はそのまま彼の作家性の濃さ、写真に対するスタンスを物語っていないだろうか。本人の解説にあるようにまさしく「写真よさようなら」の8mmビデオ版だ。1973年、17分、モノクロ。

■関連サイト
- Taka Ishii Gallery
http://www.takaishiigallery.com/exhibition/2006/07_shinjuku-1973-25pm/japanese.html

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Comments

TBありがとうございました。こちらからもTBさせていただきました。
森山さんに会えたとはラッキーでしたね。
憧れのひとを目の前にしてしまうと何も出来なくなってしまうってのすごくよく分かります。

あおひーさん、こんにちは。一瞬でしたがご本人を目の前に出来て嬉しかったです。最近の森山さんはNHKの日曜美術館などで拝見しておりましたが、小生のイメージとしては「遠野物語」の折り返しにある若い頃のポートレイトが強烈です。ここ何年か再評価の機運が高まっていて、写真集の出版頻度も多いですね。森山の登場は写真史を語る上で欠かせないいわば「事件」だった訳ですものね。その本人と、すれ違っただけとはいえ、邂逅できたというのは得難い体験でした。

はじめまして、TB返しありがとうございます。

私も25日に観に行きましたが、やはりあの人は森山さんご本人でしたか。
私はギャラリーに向かうエレベーターで一緒になりました。異常に似ているなあと思ったのですが、直接お目にかかることがなかったですし、想像していたよりも小柄な人で、半信半疑な感じがしました。
ギャラリーにもしばしいらっしゃいましたが、外に出てお話しされていた様なので、やはりご本人かと思い直しました。
この日は平日なのに結構訪れる人が多くて、それにも驚きました。

今後もよろしくお願いします。

megawattさん、こちらこそTB有り難うございました。同じ日にご覧になったのですね。丁度私が行ったときに森山さんは帰られるところだったようです。テレビでお姿を拝見していましたので、お見かけして固まってしまいました。結構、人が来ていて森山人気を伺わせるようでした。しかし、区は出来上がった作品をみてさぞ面食らったことでしょう。プロモーションとしては少々向かないものだったのでしょうね。今後ともよろしくお願いします:)

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