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July 01, 2006

墜ちる少年 / SABU 『疾走』

疾走 スタンダード・エディション昨日帰国したばかりでまだ時差ボケのまっただ中、12時間のフライトに4時間のトランジット、その後国内線に乗り換えて2時間、やっと着いたと思ったらそこからタクシーで1.5時間、成田までの時間を含めれば片道の移動だけで丸一日を超えてさすがに体にキた。しかもエコノミーでいまにも血管が詰まりそうだった。血栓が、血栓がぁっ!という夢までみたりして。ビジネスなんて夢のまた夢。マイルでアップグレードしようとしたが、満員で叶わず。しかしいつも思うのが、乗降口からエコノミー席に行くまでにビジネス席の脇を通るときの羨望と敗北感(笑)だ。たまに席の都合でビジネスに移れちゃったりするラッキーもあるが、そんなことは過去2度ほどしかない。

で、帰るなりTSUTAYAで重松清原作、SABU監督の「疾走」を借りた。是枝裕和「誰も知らない」(2004年、141分)に出演の韓英恵が主演だったからだ。実は重松清の作品は読んだことがなく、小説「疾走」が文庫で出ていたのは知っていたが全く事前情報なしに借りたというわけだ。

「沖」と「浜」という地域が互いに反目し合う、とある干拓地が舞台。兄の放火からやがて崩壊する家族。その弟と、両親の自殺で一人残された少女とが絶望と諦念のただなかでそれぞれの孤独を抱えながらまさに「墜ちてゆく」物語だ。

この映画を観ながら、これは風景が語る映画なのだと気がついた。
ロケ地はエンドロールによるとたしか茨城だったとおもうのだが、アルペジオで執拗にリフレインされるBGMとトラックの通る殺伐とした風景が素直に美しい。SABU監督らしからぬまた違ったテイストの作品に仕上がった。
以前同じことを感じた映画があって、それは瀬々敬久の「雷魚」(97年、75分)だった。これは私のなかでは邦画で五指に入る作品なのだが、この映画の風景も同じテイストを持っていて、殺伐とした日常風景が異常な美しさでそれ自体が一つの主題となっている作品だ。

少年に手越祐也、少女は韓英恵、共にセリフ回しがまだ辿々しいが、特に韓英恵は幸薄そうな役には適役で、教師への反抗から自らの髪をハサミで切るシーンが印象的だ。兄役の柄本佑も青春期の狂気を良く演じている。
豊川悦司が教会の神父役なのは一歩間違えると不謹慎にも笑いそうになってしまうのだが、さすがに上手い。ほか最近「嫌われ松子の一生」でも同じような役柄の中谷美紀、大杉漣、寺島進など。

以前、何かの雑誌だかで、つげ義春が「生きる力を打ちのめされるような絶望的な映画を観たい。」と言っていたのを思い出した。徹底的に、絶望的に美しく堕ちてゆく作品を私も観てみたいと思う。(2005年、125分)


■関連サイト
- 映画「疾走」 オフィシャルサイト
http://www.shissou.com/index_pc.html

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