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June 10, 2006

『東京のこっちがわ』 / なぎら健壱

金曜の深夜番組、タモリ倶楽部で常連の無精ヒゲに飄々とした風体のおじさん、フォークシンガーのなぎら健壱が昨年2005年9月に岳陽舎から出版した「東京のこっちがわ」は、映画「三丁目の夕日」を彷彿とさせる東京下町を撮り溜めた写真集だ。神田三省堂の写真コーナーで手に取ったが、これがなかなか良くて気に入ってしまった。
街をスナップする写真作家のスタンスには二通りあって、それは街を突き放す作家と、街に同化する作家だ。と勝手な二分法で考えれば、なぎらのスナップは勿論後者だろうし、下町という彼のホームグラウンドならではの慈愛に満ちた視線が撮影時の楽しさまで感じさせてくれる。
このひと、以前「日本フォーク私的大全」(99年、ちくま文庫)でその文才を感じさせたが、写真の腕もかなりのものだ。ちなみにこの「日本フォーク私的大全」は、日本のフォークシーンを語る上で避けて通れない必読書だと思う。豊富なエピソードをちりばめながらも、日本フォークの流れがしっかりインデックスされていて面白おかしく読みながらも資料として充分使えるものとなっている。70年代フリークとしては手放せない。
なぎらといえば、70年、伝説の「中津川フォークジャンボリー」に「怪盗ゴールデンバットの唄」で飛び入りデビューしたエピソードは余りにも有名で、以来マルチなタレントとして異才を放っているが、こんな写真を撮るとは知らなかった。
随分前のバラエティ番組で、なぎらがフォークの講義と銘打って、ギター片手に「とにかく歌詞の語尾に~だろう。という言葉をつければフォークになるんですね。」などといいながらいかにもありそうな当時のフォークシーンをパロディにしてみせたのには抱腹した。坂崎幸之助となぎらをパーソナリティにしてフォークを語る番組をどこかのテレビ局が企画しないものだろうか。

日本フォーク私的大全
日本フォーク私的大全

- 東京のこっちがわ 2005年 岳陽舎

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    渡辺克巳

    097154803X
    新潮社フォトミュゼの「新宿」が絶版となっているなかで最近刊行された渡辺克巳の最新写真集。洋書。



    先般亡くなった路上の写真家、渡辺克巳の写真集。インサイダーとして夜の新宿を流した彼の生の証はその写された人々と共に永く記憶されるべき。


    ジャパン
    倉田 精二
    4106024330
    渡辺克巳とくれば倉田精二を挙げずにはいられない。日本のウィージーと言われたストリートフォトの神髄。都市の殺伐と虚像をこれほど表現した写真はない。

    にっぽん劇場写真帖
    寺山 修司・森山大道
    4106024187
    寺山と森山のコラボレーションは「あゝ、荒野」以前にもこの作品で既に成就していた。68年刊のこの作品は強烈なコントラストとイメージで時代を色濃く表現している。腰巻きの惹句「奇才ふたりが火花を散らすイメージ地獄巡り」も凄いが、天井桟敷率いる寺山へぶつける森山の渾身の「返歌」が熱い。中平卓馬がカメラを構える有名なショットもあり。これを見ずに森山は語れない。


    奈良原の写真は既に絶版になった朝日新聞社の「昭和写真全仕事」を所有しているが、トラピスト修道院に取材した「沈黙の国」「人間の土地」「消滅した時間」などパースを駆使した知的で静謐な写真は独特の美。「無国籍地」は廃墟をモチーフにした写真集。その圧倒的な画面の構成美を。

    Cui Cui
    川内 倫子
    4902943026
    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


    この間東京都写真美術館で行われた回顧展で再び植田の仕事が再評価されている。砂丘シリーズに代表されるこのモダニズムはいつまでも古びない。

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