ジオラマに住む私たち / 本城直季 『small planet』

博物館などによく展示されている精密に再現された街並み、あるいは鉄道模型や戦場の情景をディテールまで再現した立体風景、ジオラマはそれが良くできているほど飽きずに見入ってしまうものだ。
リトルモアから出版された本城直季の「small planet」は、実際の風景をあたかも精巧に作られたジオラマのように撮影した写真集だ。いかにも小さなミニチュアのように見えるが、実は本当の風景なのがにわかには信じられない。
これは久々に驚きの視覚体験。赤瀬川原平風に言えばまさしく「眼の事件」だ。
サイトのインタビュー(下記)によれば、予想通り4x5のカメラを使用してアオリで撮っているとのことだが、つまりアオって意図的に被写界深度を極く浅くすることで、あたかも至近距離からクローズアップしているかのような視覚効果をもたらしているということだろう。見る側にとっては、この「深度が浅い」ということが、小さいものをマクロで写している、という判断に結びつくようすでに脳内にコード化されているということかも知れない。
このいわば「視覚文法」ともいうべきものは、写真の機械的な特性を視覚的な経験として後天的に体験して得たものだろうと思う。仮に写真というものを初めてみる人がいるとすれば、こういう効果が生まれるかどうかは疑わしいのではないか、いやもしかすると、写真というより元々人間が持っている「眼」の構造そのものに由来するものかも知れない。よく眼にする認知心理学での錯視のパターン、あれに似ているかも、などといろいろと疑問がわき出て混乱してしまう。
しかしそんなことは考えずとも、「これは本当に実際の風景なのだろうか。」という驚きに身を委ねるのが上質なトリックアートを見るのに似て楽しい。下記のサイトでも作品の一部が見られます。
■関連サイト
- Tokyo Source: 012 本城直季(写真家) 本人へのインタビュー
- MONTHLY RECOMMEND / 2004.10 / 今月のアート情報
- ::::::StairAUG.::::::
■月球儀通信:関連エントリ
- ジオラマライク+アオリの写真家たち
- ジオラマライク+アオリの写真家たち 2
- ジオラマライク+アオリの写真家たち 3
調べると同様の技法を使う写真家は随分以前からかなりいるようです。











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