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March 19, 2006

森下愛子・永島敏行 / 『十八歳、海へ』と『サード』

十八歳、海へ最近はまるで自分が60~70年代にいるような映画ばかり見ているが、昨日深夜に観た「十八歳、海へ」は小生が邦画ベスト3を挙げるとすれば必ず入るだろう東陽一「サード」(78年、ATG)での森下、永島が、その翌年79年に主演した中上健次の原作になる作品だ。
「サード」は小生が学生の時にもうその世界にはまりこんでしまうほど惚れ込んだ作品で、当時出たばかりのレーザーディスクプレーヤーをわざわざこの作品のために買った位だ。そのレーザーディスクももう市場から姿を消し、「サード」のディスクも結局お茶の水DISK UNIONに売ってしまい今はない。サード軒上泊原作で寺山修司脚本のこの映画は青春の鬱屈を見事に描いていてこういう役には永島はうってつけだった。脚本は寺山が原作を独自の世界観で昇華しすでに寺山世界の色濃いものとなっている。森下は今年公開のカーリングを題材にした映画「シムソンズ」に出演するなどまた活躍の場を広げているが、この作品や同年79年に撮られた同じく藤田敏八監督「もっとしなやかに もっとしたたかに」辺りが彼女の代表作でそのキャラクタがよく出ている作品だろう。ちなみに森下は吉田拓郎の妻だが、奇しくもこの間エントリしたばかりの「寺内貫太郎一家」で触れた浅田美代子は前妻だ。かなりキャラクタが違うような気がするが、これは置いといて、この「十八歳、海へ」は自殺未遂を繰り返す予備校生カップルの刹那的な青春を描く佳作。小林薫もいい味を出している。それより、姉役の島村佳江がなかなか良くて、小林と島村の大人の愛とのコントラストが上手い脚本だと思う。
こういう作品は実は多く埋もれているような気がして、また次の作品を物色している最中だ。特に70年代以前の邦画はなかなか奥が深い。

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  • Gangs of Kabukicho.
    渡辺克巳

    097154803X
    新潮社フォトミュゼの「新宿」が絶版となっているなかで最近刊行された渡辺克巳の最新写真集。洋書。



    先般亡くなった路上の写真家、渡辺克巳の写真集。インサイダーとして夜の新宿を流した彼の生の証はその写された人々と共に永く記憶されるべき。


    ジャパン
    倉田 精二
    4106024330
    渡辺克巳とくれば倉田精二を挙げずにはいられない。日本のウィージーと言われたストリートフォトの神髄。都市の殺伐と虚像をこれほど表現した写真はない。

    にっぽん劇場写真帖
    寺山 修司・森山大道
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    寺山と森山のコラボレーションは「あゝ、荒野」以前にもこの作品で既に成就していた。68年刊のこの作品は強烈なコントラストとイメージで時代を色濃く表現している。腰巻きの惹句「奇才ふたりが火花を散らすイメージ地獄巡り」も凄いが、天井桟敷率いる寺山へぶつける森山の渾身の「返歌」が熱い。中平卓馬がカメラを構える有名なショットもあり。これを見ずに森山は語れない。


    奈良原の写真は既に絶版になった朝日新聞社の「昭和写真全仕事」を所有しているが、トラピスト修道院に取材した「沈黙の国」「人間の土地」「消滅した時間」などパースを駆使した知的で静謐な写真は独特の美。「無国籍地」は廃墟をモチーフにした写真集。その圧倒的な画面の構成美を。

    Cui Cui
    川内 倫子
    4902943026
    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


    この間東京都写真美術館で行われた回顧展で再び植田の仕事が再評価されている。砂丘シリーズに代表されるこのモダニズムはいつまでも古びない。

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