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March 10, 2006

月光が消えてゆく / 姿を消しゆくモノクロ印画紙

冷黒調で一世を風靡したモノクロ印画紙の「月光」が今月2006年3月で生産中止との報せが。
- 三菱白黒印画紙(GEKKO)生産終了のお知らせ
  http://web.infoweb.ne.jp/mpm/news/060309.html

月光と言えば、小生が中学生になって写真部に入部し、先輩から「まず月光V3のキャビネを買ってきて。」と言われて以来写真というものにのめり込んだ、そのきっかけとなった特別に思い入れのある印画紙だ。赤い暗室灯の下で徐々に浮かび上がる画像はまるで魔法かと思ったものだ。その後月光V2で最適にグラデが出るようにフィルム現像を合わせていき、以来ずっと使っていたモノクロのスタンダードだった。パソコンで画像処理をしてのインクジェット出力に移行してからは殆どケミカルの現像はしていないが、少々現像を押し気味にすると黒が無限に美しく、バライタならではのクリアな画像はやはりインクジェットとは現時点でも比較にならないものだと思う。
すでに三菱製紙ではバライタベースの印画紙は製造していないようで、RCベースのマルチグレードタイプを最後に月光ブランドは名前を消すことになる。現像液のゲッコールも生産中止とのことで、あとは市場在庫がなくなり次第終了ということだ。15年ほど前に一時期モノクロが再燃したことがあって、「月光アーティスト」というバライタ厚手の高級タイプが発売された記憶があるが、その寿命も短かった。

昨年のILFORD IMAGINGの倒産で、同社の印画紙も市場から姿を消すかにみえたが、その後別会社の資本が入り販売は継続している模様。また、サイバーグラフィクス(旧オリエンタル写真工業)のニューシーガルシリーズ、富士フイルムの温黒調、富士ブロはまだ生産販売しているが、KODAKは既に昨年末に製造を中止している。このKODAKのバライタ印画紙「エクタルア」は以前銀座のプロショップ「銀一」で扱っていたが、なかでもその美しさは他を圧倒していた。ほか、フランスの老舗ギュミノ社(Guillminot)も10年ほど前に倒産、しかしその技術者が起こした会社、ベルゲール(Bergger)や、イギリスのケントメア社(Kentmere)、ドイツのテテナール社(Tetenal)などがモノクロにこだわった印画紙を製造しているのは心強い。

こういうニュースがあるものの、モノクロは写真の原点であってかつ写真表現そのものとも言え、そういう意味で市場から姿を消すということはまずないだろうと思う、というより思いたい。仮にバライタベースの印画紙がなくなるとすれば、それは画家から絵の具を取り上げるということに等しい。

■関連サイト
- 富士写真フイルム
- サイバーグラフィクス
- 中外写真薬品 ILFORD製品
- Bergger Products, Inc
- Tetenal 
- Kentmere

- コダック 白黒ペーパー全製品 販売終了のご案内 (Kodakサイト内)

■月球儀通信 関連エントリ
- モノクロ印画紙の現在 / デジタル時代のモノクローム

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  • Gangs of Kabukicho.
    渡辺克巳

    097154803X
    新潮社フォトミュゼの「新宿」が絶版となっているなかで最近刊行された渡辺克巳の最新写真集。洋書。



    先般亡くなった路上の写真家、渡辺克巳の写真集。インサイダーとして夜の新宿を流した彼の生の証はその写された人々と共に永く記憶されるべき。


    ジャパン
    倉田 精二
    4106024330
    渡辺克巳とくれば倉田精二を挙げずにはいられない。日本のウィージーと言われたストリートフォトの神髄。都市の殺伐と虚像をこれほど表現した写真はない。

    にっぽん劇場写真帖
    寺山 修司・森山大道
    4106024187
    寺山と森山のコラボレーションは「あゝ、荒野」以前にもこの作品で既に成就していた。68年刊のこの作品は強烈なコントラストとイメージで時代を色濃く表現している。腰巻きの惹句「奇才ふたりが火花を散らすイメージ地獄巡り」も凄いが、天井桟敷率いる寺山へぶつける森山の渾身の「返歌」が熱い。中平卓馬がカメラを構える有名なショットもあり。これを見ずに森山は語れない。


    奈良原の写真は既に絶版になった朝日新聞社の「昭和写真全仕事」を所有しているが、トラピスト修道院に取材した「沈黙の国」「人間の土地」「消滅した時間」などパースを駆使した知的で静謐な写真は独特の美。「無国籍地」は廃墟をモチーフにした写真集。その圧倒的な画面の構成美を。

    Cui Cui
    川内 倫子
    4902943026
    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


    この間東京都写真美術館で行われた回顧展で再び植田の仕事が再評価されている。砂丘シリーズに代表されるこのモダニズムはいつまでも古びない。

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