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February 13, 2006

小栗昌子『百年のひまわり』と土田ヒロミ『俗神』

百年のひまわり腰巻きに森山大道の推薦文がついていたので目に留まりこの小栗昌子の写真集を書店で手に取った。あとでサイトを検索すると、小栗は専門学校「名古屋ビジュアルアーツ」を卒業し同校の主宰するアワードをこの作品で受賞されたとのことだ。岩手県で出会った農村の姉弟の生活を撮った作品で、そのノマディックな雰囲気のモノクロは神話的なものさえ感じる。こういう地に足のついた作品は「感性という厄介なもの」を追いかけるかのような昨今の写真界にあって貴重ともいえる。今後の活躍を期待したい。


この作品から土田ヒロミの作品「俗神」を連想した。この写真集は小生が学生の頃大学生協で買ったのだが、注文のために書名を告げたときに「俗信ですか?」と訊かれ「いえ俗神です。」と返答したときに生協職員が「俗神?俗の神か、うーんなるほど・・・」などとなにかに打たれたようになって感動していたのを思い出す。
76年刊のこの写真集は現在も増補改訂として出版されているが、小生所持のものはオットーズブックス刊の初版だ。日本各地の祭礼や観光地、芝居小屋などいわゆるハレの場所を舞台に写真家の視線は「聖と俗」のはざまを「等価」に行き来している。元来、日本人の感覚としては人は神であり、神は人のような振る舞いをし、その境界は曖昧だ。これは聖俗を峻別する西欧的な感覚と異なり、生活のなかに日常的に神を見ていたのだと思う。この「日本の原風景」は粒子の荒くコントラストの強い画面で観る者に太古からの記憶を呼び起こさせるかのようだ。

俗神―土田ヒロミ写真集

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  • Gangs of Kabukicho.
    渡辺克巳

    097154803X
    新潮社フォトミュゼの「新宿」が絶版となっているなかで最近刊行された渡辺克巳の最新写真集。洋書。



    先般亡くなった路上の写真家、渡辺克巳の写真集。インサイダーとして夜の新宿を流した彼の生の証はその写された人々と共に永く記憶されるべき。


    ジャパン
    倉田 精二
    4106024330
    渡辺克巳とくれば倉田精二を挙げずにはいられない。日本のウィージーと言われたストリートフォトの神髄。都市の殺伐と虚像をこれほど表現した写真はない。

    にっぽん劇場写真帖
    寺山 修司・森山大道
    4106024187
    寺山と森山のコラボレーションは「あゝ、荒野」以前にもこの作品で既に成就していた。68年刊のこの作品は強烈なコントラストとイメージで時代を色濃く表現している。腰巻きの惹句「奇才ふたりが火花を散らすイメージ地獄巡り」も凄いが、天井桟敷率いる寺山へぶつける森山の渾身の「返歌」が熱い。中平卓馬がカメラを構える有名なショットもあり。これを見ずに森山は語れない。


    奈良原の写真は既に絶版になった朝日新聞社の「昭和写真全仕事」を所有しているが、トラピスト修道院に取材した「沈黙の国」「人間の土地」「消滅した時間」などパースを駆使した知的で静謐な写真は独特の美。「無国籍地」は廃墟をモチーフにした写真集。その圧倒的な画面の構成美を。

    Cui Cui
    川内 倫子
    4902943026
    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


    この間東京都写真美術館で行われた回顧展で再び植田の仕事が再評価されている。砂丘シリーズに代表されるこのモダニズムはいつまでも古びない。

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