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February 04, 2006

名作写真の舞台裏 / 『写真家のコンタクト探検』

好きな写真家の写真集を思う存分眺めて、なおかつ願うことならばその全てを所有したいと思うのは現実には無理としても図書館や写真美術館の図書室を利用したり友人に借りたりなどしてずっと見られなかったものにようやく巡り会えたときの嬉しさは、例えば求めていた古書に偶然巡り会えた時のそれと同じ位かも知れない、というかこれ全然例えになっていないしよく考えると全く同じ話だったりしてどうかと思うが、そういう夢想の延長上に専用の書庫を地下につくるとかいつか写真集の専門古書店をやってみたいなどと思うもののそこから一歩を踏み出す勇気も資力もないことに思い至っていつも現実に戻されるというくりかえしなのだった。で、いつも見てみたいと思うのが写真家のコンタクト、いわゆる「ベタ焼き」だ。デジタル時代となってはPCで見るサムネイルということになるのだろうか。フィルムカメラではショットの全てが記録されるがデジタルでは撮影途上で消去されているかも知れない。しかし、写真家が作品として選択しなかったコマというものは、撮影の流れが分かる貴重な資料であり普通には眼に触れることはない。だからこそそれを見てみたいと思うのは写真好きにとっては自然な欲求だと思う。
松本徳彦著「写真家のコンタクト探検」(平凡社、96年)は著名な写真家の代表作を、コンタクトという切り口で当時の撮影状況を作家本人へのインタビューと共に構成したものだ。

土門拳、秋山庄太郎、奈良原一高、細江英公など著名な作家のコンタクトを見られるだけでも貴重だ。森山大道については「にっぽん劇場写真帖」のベタが見られる。コンタクトというものはアングルや寄り、引きという撮影時の写真家の動き、工夫全てを露わにするものだということがよく分かる。
少々出版が古いとはいえ類書があまりないだけに今でも時折開いて眺めることがある。

458223108X写真家のコンタクト探検―一枚の名作はどう選ばれたか
松本 徳彦
平凡社 1996-03

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  • Gangs of Kabukicho.
    渡辺克巳

    097154803X
    新潮社フォトミュゼの「新宿」が絶版となっているなかで最近刊行された渡辺克巳の最新写真集。洋書。



    先般亡くなった路上の写真家、渡辺克巳の写真集。インサイダーとして夜の新宿を流した彼の生の証はその写された人々と共に永く記憶されるべき。


    ジャパン
    倉田 精二
    4106024330
    渡辺克巳とくれば倉田精二を挙げずにはいられない。日本のウィージーと言われたストリートフォトの神髄。都市の殺伐と虚像をこれほど表現した写真はない。

    にっぽん劇場写真帖
    寺山 修司・森山大道
    4106024187
    寺山と森山のコラボレーションは「あゝ、荒野」以前にもこの作品で既に成就していた。68年刊のこの作品は強烈なコントラストとイメージで時代を色濃く表現している。腰巻きの惹句「奇才ふたりが火花を散らすイメージ地獄巡り」も凄いが、天井桟敷率いる寺山へぶつける森山の渾身の「返歌」が熱い。中平卓馬がカメラを構える有名なショットもあり。これを見ずに森山は語れない。


    奈良原の写真は既に絶版になった朝日新聞社の「昭和写真全仕事」を所有しているが、トラピスト修道院に取材した「沈黙の国」「人間の土地」「消滅した時間」などパースを駆使した知的で静謐な写真は独特の美。「無国籍地」は廃墟をモチーフにした写真集。その圧倒的な画面の構成美を。

    Cui Cui
    川内 倫子
    4902943026
    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


    この間東京都写真美術館で行われた回顧展で再び植田の仕事が再評価されている。砂丘シリーズに代表されるこのモダニズムはいつまでも古びない。

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