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February 09, 2006

写真という物語 / 吉場正和 『あき』

あき―吉場正和写真集
この写真集を見かけて以来、モデルの視線がずっと頭の片隅に居座っていたが、ページを捲りながらゆっくり眺めていると写真家とモデルとの間に紡がれる物語のなかへ他者であるはずの自分が何故か埋もれて行くような感覚がある。リリシズム溢れるシチュエーション、親密な視線。版元のリトルモアのサイトによると偶然立ち寄った本屋でモデルとして声をかけ、それをきっかけとして知り合い以来10年をかけて撮されたものだという。このように関係性を深めつつ時間をかけて撮られたポートレートはあまりないのではないだろうか。時折挟まれるシチュエーションショットはこの写真集の物語性をさらに際立たせている。ではその物語の行く末、結末とは一体なんだろうか。その親密さ、優しさが濃いほどにやがて訪れる「物語の終わり」を予感せずにはいられない。
この写真を見ながら、荒木経惟の「センチメンタルな旅」を思い出していた。この作品は新婚旅行をモチーフにした彼の処女写真集だが、その序文で荒木が「自分の新婚旅行を撮影した私小説」というように、物語を一編の「映画」もしくは「小説」として意図され構成されている。吉場のこの作品も写真で構成した私小説とすれば読者はその物語性というものをことのほか感じながらイメージを追体験することになる。
プロフィールによると吉場は商業写真の分野で活躍中とのことだが、その後のあきとの「物語」はどういう結末を迎えたのだろう。

センチメンタルな旅・冬の旅
荒木 経惟
4103800011

■関連サイト
- Little More Web 吉場正和「あき」

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Comments

はたまたお久しぶりです。アラーキのレポートやりました。
ぼろぼろだったんですよね。
また今度まわってきたら、azisayumiさんに相談してもいいですか?

ノクダさん、「夜の写真部」で荒木やらはったんやね。しかし撮るだけじゃなくて写真評論もやるなんてスゴイ!面白そう!役にはたたへんとおもうけど、そんときはメルしてな!ほじゃまか。

いえ…。
じつはぶっちゃけここだけの話、大学の教科書から結構パクりました。
イエヤシナイヨこんなこと!

あらま、ぶっちゃけちゃったんすね。でも学生の頃の論文とかでは如何に類書の内容を頭に入れるかというようなテストの時の乗り切り方をしてたんですが、殆どの場合、普通の学生がそんなにオリジナルな自説を持ってる筈ないですもんね。先生にはどの本から持ってきたのか、全部分かってたんだろうなぁ。

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    渡辺克巳

    097154803X
    新潮社フォトミュゼの「新宿」が絶版となっているなかで最近刊行された渡辺克巳の最新写真集。洋書。



    先般亡くなった路上の写真家、渡辺克巳の写真集。インサイダーとして夜の新宿を流した彼の生の証はその写された人々と共に永く記憶されるべき。


    ジャパン
    倉田 精二
    4106024330
    渡辺克巳とくれば倉田精二を挙げずにはいられない。日本のウィージーと言われたストリートフォトの神髄。都市の殺伐と虚像をこれほど表現した写真はない。

    にっぽん劇場写真帖
    寺山 修司・森山大道
    4106024187
    寺山と森山のコラボレーションは「あゝ、荒野」以前にもこの作品で既に成就していた。68年刊のこの作品は強烈なコントラストとイメージで時代を色濃く表現している。腰巻きの惹句「奇才ふたりが火花を散らすイメージ地獄巡り」も凄いが、天井桟敷率いる寺山へぶつける森山の渾身の「返歌」が熱い。中平卓馬がカメラを構える有名なショットもあり。これを見ずに森山は語れない。


    奈良原の写真は既に絶版になった朝日新聞社の「昭和写真全仕事」を所有しているが、トラピスト修道院に取材した「沈黙の国」「人間の土地」「消滅した時間」などパースを駆使した知的で静謐な写真は独特の美。「無国籍地」は廃墟をモチーフにした写真集。その圧倒的な画面の構成美を。

    Cui Cui
    川内 倫子
    4902943026
    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


    この間東京都写真美術館で行われた回顧展で再び植田の仕事が再評価されている。砂丘シリーズに代表されるこのモダニズムはいつまでも古びない。

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