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January 31, 2006

内藤ルネ / 『内藤ルネ自伝 すべてを失くして―転落のあとに』

内藤ルネ自伝 すべてを失くして―転落のあとに近代ナリコの「本と女の子」を読んでそこに出てくる懐かしい名前、内藤ルネ著「内藤ルネ自伝 すべてを失くして―転落のあとに」を読んだ。これはインタビュー形式のいわば聞き書きで何年か前に弥生美術館で行われた「内藤ルネ展」での人気再燃を受けて出版されたようだ。腰巻の惹句にピーコが推薦文を寄せているように内藤は同性愛者であり、同性の恋人との生活などを含めて生い立ちや家族、同時代の芸術家との親交についての語りには惹きつけられる。特に中原淳一の「それいゆ」に憧れて上京し初めて足を踏み入れた街が神保町で、当時の自由な雰囲気に内藤は「初めてみた東京が神保町でよかった。」と述懐しているのは興味深い。
金子國義や四谷シモンらとの集まりが「四谷婦人会」(しかし凄い名前だが言い得て妙だ。)と呼ばれ次第に当時のアーティストたちが参加し始める下りは四谷などの自伝を合わせ読むと面白い。
題名のとおり、その後バブルの時期に詐欺師に騙され無一文となり、またパートナー共に倒れ入院するなど、一時代の寵児はどん底に突き落とされる。この振幅の激しさがいかにもアーティストだ。弥生美術館での展覧会で当時を知らない筈の年代をも巻き込んで人気が再燃するつい最近まで、ルネは失意の淵にいたことになる。個人の過ぎ越しを「語り」として聞くということがこれほど面白いものかと気づかせてくれた。

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