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November 26, 2005

いつか見た街 / 『ALWAYS 三丁目の夕日』

仕事で最近少々煮詰まってきたこともあって、かどうか自分でもわからないが、ふと通りかかった映画小屋で「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005年、133分)をやっていて、たまには泣ける映画をと思い立ち思わず飛び込んだ。ALWAYS 三丁目の夕日 オフィシャル・フォト・ブックビッグコミックオリジナル連載の西岸良平原作「三丁目の夕日」の映画化だ。この漫画はもう何年続いているのか分からないが、私にとっては定食屋で手に取りいつも読むともなく読むという感じのいかにもBCオリジナルらしい作品。

TVスポットのトレーラーで、車窓から見上げる街並みのカットが心に留まっていた。その先には建設中の東京タワーが見えてくる映像だ。いつも写真を撮りながら広角で仰ぎ見る映像というのは子供の視線に近いのではないかと考えることがある。これは前々から気にかかっていて、視点を下げた仰角気味の写真を自分なりに纏めて見たいと思っているのだがなかなか良いものが撮れないでいる。

舞台は東京タワー建設中の昭和33年の東京。しかし銀座、高円寺という具体的な地名が出てくるものの夕日町という地名が示すとおり架空の街だ。そこで繰り広げられる人情エピソードに、なつかしい昭和の調度や茶の間に現れたテレビや冷蔵庫、金の卵と言われた集団就職などの世相をちりばめた構成となっている。

この映画はそもそもこの時代の忠実な再現ではなく、人々の記憶にある時代のイメージを拾った寓話、という受け取り方をするべきものだろう。それは架空の地名や登場人物の名前などに表れているのだが、そう考えればアラ探しという無粋なことをせずに楽しめる。
私の子供の頃にもまだあったコンクリート製で前と上に木の蓋がついていた街のゴミ箱や、湯たんぽに湯を入れるシーン、駄菓子屋で売っていた銀玉鉄砲や模型飛行機は見ただけで途端に忘れていたものが呼び戻される。こう感じるとモノには呪力があるとしか思えない。
街のディテールの再現にはかなりこだわったようだ。しかしいくら当時でもホーロー看板はあんなに数多く貼られてあったかな、などと思ってしまったり、オープニングの都電の走る街並みが、「血と骨」のセットと同じと気づいてしまったりをその都度うち消しつつも、泣かせようという意図を分かりすぎるほど分かっていながらつい泣いてしまった。子供やヒロインとの別離という言ってみれば月並みなエピソードも、それがどうあれおそらくそれに反応する回路をひとは先験的に持ってしまっているのだろうか。
しかしあれほど東京タワーが近い場所というのはどの辺りを想定しているのだろう。
その後何十年か経ち、子供達は急激に値上がりした土地を売ってバブル長者となった、という後日談は無論ないが、こんなことを想像する自分が嫌だとは思う(笑)。

出演は吉岡秀隆、堤真一、小雪、薬師丸ひろ子、三浦友和、堀北真希他。

- ALWAYS 三丁目の夕日 公式サイト

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Comments

ぼくも観ました。無論、悪くない映画でしょう。"戦争は終わったんだ"ということと、"家族"という人間関係が"希望"をストレートに指し示す時代を40台の監督が描き。いい映画になったと思います。

台詞が陳腐にすぎるとは思ったけど、原作から持ってきた台詞だったのかもしれませんね。

旧上野駅のCGはよかったなぁ。
東北から根雪を乗せたディーゼル車が入ってきた往時の上野駅を思い出しましたよ。

>scripsistiさんもご覧になったのですか。あとで調べてみると、監督の山崎貴はVFXで有名な人らしいですね。上野駅もどこからがCGか分からなかった位良くできてました。小雪がキャバレーの屋上で夕日に手をかざすシーンも印象的でした。夕日を指輪に見立てるという。
堀北真希も良かったですね。あの位の歳の娘は髪も染めず化粧もほどほどに作らないのが一番綺麗に見えるのにといつも思います。そう思う私はオジサンでしょうか??多分そうですね(笑)

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