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October 16, 2005

「秘伝」を買う

風邪は大分良くなったものの、まだ少々心熱があって今日いち日ふわふわと雲の上を歩くかのような感じだった。
なにせ土日の二日間で計30時間以上も睡眠を取ったため頭痛がするのは風邪の所為だか寝過ぎのためか分からなくなる。寝ながらふとつけたテレビで久しく会っていない知人が出ていて吃驚した。詳しくは書けないが奥さんと共に好きな道で暮らす彼は幸せそうだった。その記憶から芋蔓式に想い出されたことがある。

彼と一緒にある仕事のプロジェクトに関わっていた時分、私は占術に凝っていて、殊に周易や測字、骨牌(つまりトランプです。)による占、いわゆる命卜相の卜(ぼく)に関する占に殊に惹かれていた。ちなみに命卜相とは占いをその方法論で分類したもの。命占とは生まれ日や受胎日を元に占うもので子平(四柱推命)や紫薇斗数がこれに当たり、相とは人相、家相、手相など、卜とは偶然のなす象を観るもので易やtarotなどが分類される。これに医(医学)山(肉体修練)を加えて五術などと言うのだが、五術などというときどうもその支那臭が体に受け付けず、専ら日本において展開された占いを中心とした風俗文化、占いといういわばキワモノ中のキワモノをカウンセリングなどと飾りつつ臆面もなく行われる営業などにではなく、実は優れた「発想法」としての価値側面を発見して興味を惹かれた訳だ。当時は古占例や易書を求めて古書店を渉猟する日々だった。その頃はその方面に関わる人々にも巡り会っていたが、どの分野にも病深いひとはいるもので、ある人など神保町の均一棚で拾った実用新書のたぐいの占い本の著者に占術の勘所を教えて欲しいという手紙を書きその教授料として十万円を払ったというのを聞いて驚いた。彼はつまり「秘伝を買った」訳だ。この「秘伝」というのはこの世界では良く耳にする話で、通り一遍の方法論の裏には「秘伝」という重要かつ核心に触れるものが存在し通常は表に出ないものとされる。一子相伝などといって特定の人のみに手渡される場合もあるが、江戸時代の昔からその多くは金銭で売買されるものだった。これは世の中には必ず表と裏というものがあると考える一種の強迫観念に似た世界観で、これに取り憑かれると取るに足らないものに大金をつぎ込むという、端から見れば気の毒なような、笑えないが結局は馬鹿馬鹿しくて笑ってしまうような人間模様なのだった。
しかし、例えば某オークションなどでよく見かける「教えます」のたぐい、もしくはシンクタンクが特定業界向けに出版するマーケティング情報本なども金銭で情報を売り買いするものだとすれば、実はこれにかなり近いのかも知れない。異常に高価ではあるが、買ってみると全て知っていることばかりだった、などというのが似ている(と想像する。時に有用で決して悪い意味ではないが。)つまりいまでも占術などという特殊な世界でなくとも広く「秘伝の売り買い」が実は行われていることに思い至って、世の中というものは整然としているようで混沌に満ち満ちていることを知るのである。
テレビでみた知人から思わぬ連想が拡がってしまった。やはりまだ微熱があるようだ。

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    渡辺克巳

    097154803X
    新潮社フォトミュゼの「新宿」が絶版となっているなかで最近刊行された渡辺克巳の最新写真集。洋書。



    先般亡くなった路上の写真家、渡辺克巳の写真集。インサイダーとして夜の新宿を流した彼の生の証はその写された人々と共に永く記憶されるべき。


    ジャパン
    倉田 精二
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    渡辺克巳とくれば倉田精二を挙げずにはいられない。日本のウィージーと言われたストリートフォトの神髄。都市の殺伐と虚像をこれほど表現した写真はない。

    にっぽん劇場写真帖
    寺山 修司・森山大道
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    寺山と森山のコラボレーションは「あゝ、荒野」以前にもこの作品で既に成就していた。68年刊のこの作品は強烈なコントラストとイメージで時代を色濃く表現している。腰巻きの惹句「奇才ふたりが火花を散らすイメージ地獄巡り」も凄いが、天井桟敷率いる寺山へぶつける森山の渾身の「返歌」が熱い。中平卓馬がカメラを構える有名なショットもあり。これを見ずに森山は語れない。


    奈良原の写真は既に絶版になった朝日新聞社の「昭和写真全仕事」を所有しているが、トラピスト修道院に取材した「沈黙の国」「人間の土地」「消滅した時間」などパースを駆使した知的で静謐な写真は独特の美。「無国籍地」は廃墟をモチーフにした写真集。その圧倒的な画面の構成美を。

    Cui Cui
    川内 倫子
    4902943026
    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


    この間東京都写真美術館で行われた回顧展で再び植田の仕事が再評価されている。砂丘シリーズに代表されるこのモダニズムはいつまでも古びない。

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