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September 25, 2005

『ユーカラ 沈黙の80年 -樺太アイヌ蝋管秘話-』 / NHK特集(84年)

図書館は比較的良く利用する方だと思うが、例えば文庫の新刊が書店に並んだとき読みたい本を見つけるとその題名を記憶しておき、あとでその元となった単行本を図書館で借りる、ということを良くやる。文庫書き下ろし、ということも最近は多いようだが、大抵はオリジナルの単行本が既に図書館に所蔵されていることが多い。出版社もその点を心得ており、文庫化される際には一部を書き下ろしとしたり、増補、改訂などを行って文庫だけの付加価値を高めようとしているようだ。
今日は、その図書館のAVコーナーでビデオを借りた。あまり図書館では映像を借りたことがなかったのだが、いわゆる名作と言われる映画、歴史映像、ほかハウツー物などが意外なほど揃っており、なかでもNHK特集のバックナンバーがあってしばらくはなかなか楽しめそうだ。しかも只ときている。正確には税金でまかなわれているのだから只ではないが、せっせと借りて少しでも回収しなきゃといつも思っている(せこい)。
借りたのは「ユーカラ 沈黙の80年 -樺太アイヌ蝋管秘話-」(84年6月放送)と「わが青春のトキワ荘」(81年5月放送)、それにユーロスペースのアート・ドキュメンタリーシリーズ「バルテュス」の3本だ。

「ユーカラ 沈黙の80年」はムックリの音色が聴けるのではと思って借りたが、ほんの一部、BGM的に流されただけだった。その短い間にも倍音の響きが素晴らしく、自分にはとてもあのような玄妙な音は出せないと思った。弾くたびにまるで絹のような微妙な何十もの音がまつわり舞うのだ。どうも息の遣い方にコツがあるようなのだが、たしかムックリ演奏家の長根あきさんの演奏を聴いたときのパンフレットに、鼻腔、耳管を駆使した音、という表現があって、鼻腔はまだしも耳管を使うというのは一体どうすれば良いのか、小生のような初心者にはとても想像がつかない奥深さを思いだした。

しかし、この映像には惹きつけられた。番組放送から80年前、ということは2005年の今から遡っておよそ100年前にポーランドを政治犯として追われて樺太に流刑になったブロニスワフ・ピウスツキーが樺太アイヌのユーカラを蝋管というレコードの原型のようなもので録音していた。これがポーランドで発見され日本に送られた。北海道大学で当時の最新技術を駆使してその音源からノイズを除くなどし、その演奏者が誰なのかを探るというもの。ピウスツキーは樺太でアイヌの女性チュプサンマと結婚し二児をもうけていた。番組はその子や孫を捜し当てるという結末。ユーカラの声とムックリ、トンコリの響きが北の吹雪に霞むチセ(集落)を美しく哀しく浮かび上がらせていた。いつかこの地を辿る旅に行きたいものだ。


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Comments

「バルテュス」のドキュメンタリーって、勝新が出てるやつでしょうか?
それ、見たことあります。
バルテュスは1994年くらいの「芸術新潮」で特集があって(確か「伊勢神宮」特集の号)、和装がとっても似合っていたのを覚えてます。

ポーランド貴族とアイヌ女性の映像も、テレビで放映されてましたよね。そのお子さんやお孫さんって富良野にお住いだったかと思います。
ワルシャワ旧市街のレストランでポーランドの親戚達と再会を祝ったシーンでは、わー、このレストラン、行ったことあるわ。など、個人的にも懐かしい映像だったので、蝋菅のユーカラともども齧り付きで見入ってました。

そうです、そうです。勝新が出てるやつですね。たしかバルテュスの奥さんも日本人だったんじゃないでしたか。芸術新潮の号は私も覚えています。ちょうど、そのころバルテュス展を東京ステーションギャラリー(都美館だったかな)でやっていて見に行ったんです。まだ借りてきて観てないんですが、これから楽しみ。

え、蝋管に齧り付いちゃったんですか?てそんなわけないですね(笑)。ピウスツキーは、妻子を残してポーランドへ一人帰り、身よりのないままその後パリでセーヌに身を投じて自殺しているので、もしかして別の映像とこれとを一緒にされているかも??ピウスツキーの子孫が再会する他の番組もあったかもしれません。そちらの方も見てみたいですね。アイヌ関係の映像はもっともっと見てみたいんです。
ポーランドは今年5月の旅行で寄るはずだったんですが、結局行けずじまいでした。
ワルシャワと樺太!なんてロマンチックな!

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    渡辺克巳

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    奈良原の写真は既に絶版になった朝日新聞社の「昭和写真全仕事」を所有しているが、トラピスト修道院に取材した「沈黙の国」「人間の土地」「消滅した時間」などパースを駆使した知的で静謐な写真は独特の美。「無国籍地」は廃墟をモチーフにした写真集。その圧倒的な画面の構成美を。

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    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


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