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June 18, 2005

フジテレビ『NONFIX/東京ニューシネマパラダイス』

子供の頃、近所の東宝映画館でゴジラの新作がかかると親に小遣いをねだっては友達と観に行ったものだったが、実は級友の母親がその小屋のモギリのパートをやっていて僕らの顔を認めると内緒でタダで入れてくれたりした。おまけにファンタの差し入れてまでもらって子供心にも申し訳ない気持ちだった。帰ると馬鹿正直に親にお金を返していたのだが、一緒に行った友人がその浮いた映画代を小遣いの足しにしているのを後で聞きコイツは自分より大人だなと思った、というより単なる悪ガキだ。
映画館ではスクリーンより客席後ろの小さな窓から放たれる光の束に惹かれていた。友人の家に呼ばれての8ミリ上映会ではリールがセットされていよいよ部屋の灯りが消されるともう既に胸の高鳴りを押さえられなかった。カタカタと映写機のレンズから光がこぼれ始めると襖が当座のスクリーンとなって少しばかりアウトフォーカスの友人が画面のなかで走り回っていた。

たぶん映画はその発祥の時点から既にノスタルジーそのものなのだろう。

6月15日深夜に放送されたフジテレビの「NONFIX」は「東京ニューシネマパラダイス」と題して映画というものに魅せられた人々を追ったドキュメンタリーだった。デジタル化が進みフイルムの要らない映写技術が現れるなかで、もう専門の技術は要らなくなったという老映写技師と、これから映写技師を目指そうとする若者。ほか活弁の山田広野やサラリーマンと2足の草鞋を履く高崎映画祭主宰茂木正男さんなど、映画に憑かれた人々を追っている。

銀座並木座もなくなり、昔京都に住んでいたころ良く通った四条大宮のスペース・ヴェンゲットもなくなってしまった。新宿シネマアルゴ、梅田シネ・ヌーヴォなど消えていった映画小屋は限りない。自分の学生時代はこれらの小屋なしにはあり得なかったし今もそうだ。タバコ臭い脇の通路で入れ替えを待つ時間は何ものにも代え難いものがある。映画は家で観るものではなく、映画館に足を運び劇場の暗闇に身を置いて観るものだ。そのプロセス、雰囲気すべてが映画という行為そのものなのだと思う。

話は変わるが、ノンフィクション番組は益々その居所を失って、このNONFIXなど深夜3時前後の枠に追いやられているし、ドキュメンタリー番組そのものが極端に少ないのは寂しい。良質のドキュメント番組をもっと放映して欲しいものだ。

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Comments

急に書き込んで申し訳ありません。

私は今都内の映画館で映写をしています。
今さらなのですがNONFIXのこの回が本当に見たくて
検索していたらこのページにたどり着きました。

この回について何か情報をお持ちでしたら返信していただけると嬉しいです。

いきなりでごめんなさい。
よろしくお願いしますm(_ _)m

うえぽんさん、こんにちは。管理人のazusayumiと申します。
このドキュメンタリーを見たのはもう2年以上前のことなので記憶が定かではありませんが、こういう深夜枠の番組は得てしてビデオに録って見ることが多いので、もしやと思い確認してみましたが、どうも映像は重ね録りしてしまったようで残念ながらありませんでした。

朧気な記憶では、老映写技師と対比するようにこれからそれを目指す若い映写技師が前半で描かれ、後半は活弁の山田広野、映画祭に賭ける人などを追うという構成の、映画に携わる人々をオムニバスのように編集したものだったと思います。

若い映写技師は確か、残念ながら昨年閉館になってしまったシネマアートン下北沢で働く女性の方だったと記憶していますが、閉館してから今はどうされているのでしょうか。

エントリにも書きましたが、こういう小屋がどんどん無くなってしまうのは寂しすぎますね。映写技師をされているとのこと、是非お続けになって少しでも長く映画のもつ「匂い」を守り続けて下さると嬉しいです。

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    渡辺克巳

    097154803X
    新潮社フォトミュゼの「新宿」が絶版となっているなかで最近刊行された渡辺克巳の最新写真集。洋書。



    先般亡くなった路上の写真家、渡辺克巳の写真集。インサイダーとして夜の新宿を流した彼の生の証はその写された人々と共に永く記憶されるべき。


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    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


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