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December 31, 2004

花輪和一 / 『刑務所の前 第2集』

ふと胸騒ぎがして書泉グランデのコミックコーナーに寄ってみると、「刑務所の前」の第2集が平積みになっているのを発見してすかさず購入した。しかし第1集が出てから既に2年も経っているこの遅筆ぶり。この間の原リョウもそうだが、どうも遅筆ということがそれだけで有り難みを倍加させているような部分もあるかも。でもどちらも作品として充分面白いので余計なことは言わないが良し。
以前からの花輪ファンならばおそらく信じ難いことに映画にまでなった「刑務所の中」のサイドストーリーの体裁を採ってはいるが、そこは花輪らしく中世の鉄砲鍛冶の娘を主人公にした話とが入れ子のように同時並行するという不可思議さだ。読み進むにつれ話の流れがおぼろにイメージ出来てくるような気がする。この話のモチーフである、親の業を償うために修行する若い女とはどうも花輪本人にオーバーラップされているようなのだ。今年出版された「不成仏霊童女」のあとがきでも伺えるが、花輪の母親への憎しみの念は尋常でないからだ。これを考えると単なる刑務所エンタテインメントではなく実はかなり深いマンガなのではないかと思ってしまう。でも2年は長いよな・・・。

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    渡辺克巳

    097154803X
    新潮社フォトミュゼの「新宿」が絶版となっているなかで最近刊行された渡辺克巳の最新写真集。洋書。



    先般亡くなった路上の写真家、渡辺克巳の写真集。インサイダーとして夜の新宿を流した彼の生の証はその写された人々と共に永く記憶されるべき。


    ジャパン
    倉田 精二
    4106024330
    渡辺克巳とくれば倉田精二を挙げずにはいられない。日本のウィージーと言われたストリートフォトの神髄。都市の殺伐と虚像をこれほど表現した写真はない。

    にっぽん劇場写真帖
    寺山 修司・森山大道
    4106024187
    寺山と森山のコラボレーションは「あゝ、荒野」以前にもこの作品で既に成就していた。68年刊のこの作品は強烈なコントラストとイメージで時代を色濃く表現している。腰巻きの惹句「奇才ふたりが火花を散らすイメージ地獄巡り」も凄いが、天井桟敷率いる寺山へぶつける森山の渾身の「返歌」が熱い。中平卓馬がカメラを構える有名なショットもあり。これを見ずに森山は語れない。


    奈良原の写真は既に絶版になった朝日新聞社の「昭和写真全仕事」を所有しているが、トラピスト修道院に取材した「沈黙の国」「人間の土地」「消滅した時間」などパースを駆使した知的で静謐な写真は独特の美。「無国籍地」は廃墟をモチーフにした写真集。その圧倒的な画面の構成美を。

    Cui Cui
    川内 倫子
    4902943026
    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


    この間東京都写真美術館で行われた回顧展で再び植田の仕事が再評価されている。砂丘シリーズに代表されるこのモダニズムはいつまでも古びない。

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