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November 08, 2004

『trumpi / トルンピ アントン・ブリューヒンの口琴新世界』

trumpi.jpg口琴映画、というジャンルがあるのかどうか分からないが、これはスイスの口琴演奏家ブリューヒンが、手に隠れるほどの小さくてプリミティブな楽器=口琴を手に地元のスイスからロシアのサハ共和国、そして東京を旅するドキュメンタリ・ロード・ムービーだ。まず最初のシーンでいきなりに理解不能なマシンが現れる。ペットボトルのオモリ(?)で回るまるで点滴のスタンドのような機械。後のシーンで出てくる口琴の響きを増幅・共鳴させる紙管、連続して口琴のリードを振動させる電気機械。これはまるでスイスの明和電機?それにしてはその思索的な風貌が音の求道者を思わせる。口琴は民族楽器というイメージだったが、そのアプローチのあり方はまさしくノイズミュージックの流れに繋がっているようだ。ヘンな機械を黙々と扱うブリューヒンは音のアルケミストか。ただ、演奏中に複数の口琴を切り替えつつ同時演奏するために2,3個の口琴を木片とネジでつなぐ方法は直ぐに使えそうなナイスアイデアだ。
しかし、サハの風光は魅力的だ。ホムスを作る鍛冶のシーン、伝統音楽のレッスンを受ける少女などのシーンは映像として興味深い。シベリアの夏、素朴な人々の口にはいつも口琴が鳴っている。
この映画は旅人ブリューヒンを中心に、一切の説明、字幕を排してただひたすらに淡々と旅のシーンをまるでスナップショットのように映し続ける。観ている私がまるでその旅に同行しているような心地よい錯覚にとらわれる不思議な映像詩だ。ほか巻上公一、直川礼緒。1999年/スイス/70分。(DVD)

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