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October 11, 2004

J.カンピオン / 『イン・ザ・カット』

メグ・ライアンの新境地とか、大胆な演技が要求される役柄には似合わないなどと巷での下馬評は喧しいが、あまり期待せずに観ての感想は、なかなか良くできた映画だと思う。刑事との情事にはあまり必然性というものが感じられないが、サスペンスとしては佳作の部類に入るだろう。メグ・ライアンは61年生まれなので、今年43歳になる筈だ。いつまでも恋だの鮎だの言ってられない歳だろうし、だからこそ役者としての賭けに出たのかもしれないが、事情通は別として観客に取ってはその作品が楽しめるかどうかという点のみが関心事、ということからすればなかなか良かった、ということなのである。しかし、それがメグでなくとも何らの差し支えがないことは残念だ。しかし、やたらに扇情的なテイストの女優ならばなお良かったかというならば、それは逆だ。夢見がちな中年女性である必要は少なくともあったと思う。だいたい、センセーショナルな絡みシーンとかなんとか、実際、どーってことないのである。この程度ね、という淡々とした感想しか出てこないのだ。少なくとも私は(笑)。もっとも、大資本の商業映画としては最低限のラインはあるだろうが。しかし公式サイトの荒木経惟の惹句(要検索)には笑わせてもらった。そういう宣伝をすることで、その映画の本当の見どころがどこかへ紛れてしまうようなプロモーションが後を絶たない。以下割愛。

カンピオンの作品は、初期の短編集や「エンジェル・アット・マイ・テーブル」、後の「ピアノ・レッスン」など私的には外れがない。そしてこのどうも余り評判の良くない作品についてもそれは言える。カメラの絞りを開け被写界深度を極端に浅くし、しかもおそらくアオることでNYの街を独特なニュアンスで美しく表現している。また、ほとんどが手持ち撮影なのも特徴的だ。これらは主人公の夢幻をよく表現している。というより、この映画は、プロットがどうというより、この映像表現に身を任せてしまうのが正解。これは贔屓の引き倒しか。

ほか、ケビン・ベーコン。制作にニコール・キッドマン。2003年、119分。

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