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October 10, 2004

佐藤真 『SELF AND OTHERS』 / 牛腸茂雄の記憶

先日、三鷹市美術ギャラリーにて開催中の牛腸茂雄写真展「牛腸茂雄展 -自己と他者-」にて併映のドキュメンタリー映画「SELF AND OTHERS」を観た。牛腸の作品については、以前、写真季刊誌「deja-vu 8号」(92年)での特集、その後moleから出版された「幼年の「時間」」(95年)を見たに過ぎなかった。しかし、その後、彼の3冊の写真集を都立写真美術館の書庫で、この夭折の写真家の数少ない写真-あたかも遺書のような-自らの生の痕跡を巧まずに表現した作品群を目の当たりにした。彼の作品はそのほとんどが被写体を画面中心に据えた構図だ。いわゆる「日の丸構図」と言われる写真の初心者が取りがちな画面構成で構図を学んでくると初心者はこれを避けようとする。
しかし、そんなことは知悉している牛腸が敢えてこの画面真ん中、という構図で「他者」に対峙することで、あたかも他者を自分の投影として鏡に映しているような感覚を与えている、と思う。
今回の写真展はそれら作品から、桑沢デザイン研時代の習作、そしてインクブロット作品をも展示した回顧展だ。写真展や雑誌掲載を嫌い、写真集の出版のみに賭けた牛腸のオリジナルプリントが見られるのは貴重。

この映画の監督、佐藤真は水俣を長期に渡って取材した「阿賀に生きる」(1992年。芸術選奨文部大臣新人賞受賞作)で知られるドキュメンタリスト。
映画は、新潟の生家の部屋から始まり、肉親や関係者へのインタビューなど通常ドキュメントとして取る手法を排して、ひたすらに牛腸の作品を登場させ、それらの被写体となった人々のモノローグ、牛腸の姉に宛てた手紙の朗読、そして牛腸自らの肉声をオーバーラップさせるという、単なる映像評伝という枠組みを超えた実験的で斬新な構成を採っている。
牛腸の肉声は、3歳で胸椎カリエス(映画では脊椎カリエスとなっている。)に罹り、83年に36歳で逝去してから20年を経て彼の作品と共に映画のなかで再生される。その特徴的にくぐもった声、「もしもし、聞こえていますか。あいうえお、あいうえお」とつぶやく牛腸は、その作品群とともに、向こう岸から自らの生の痕跡をいまの我々に幾度も幾度も確認するかのようだ。
2000年、53分。(16mm)

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Comments

そういえば、デジャヴュに牛腸さんの特集ありましたね。と言っても見てないんですけど(ヤフオクで落としたのは「私生活」)
今度牛腸さんのも落としてみます。

なるほど。ヤフオクで買う手もあるんですね!仕組みがよく分からないのでネットオークションってやったこと無いんです。なんかコワイし。(そんな自分がコワイ)
deja-vu No,14 『プロヴォーク』の時代
は欲しいですね。小川町の源喜堂あたりに埋もれてそうなので今度救出してきます:-)

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  • Gangs of Kabukicho.
    渡辺克巳

    097154803X
    新潮社フォトミュゼの「新宿」が絶版となっているなかで最近刊行された渡辺克巳の最新写真集。洋書。



    先般亡くなった路上の写真家、渡辺克巳の写真集。インサイダーとして夜の新宿を流した彼の生の証はその写された人々と共に永く記憶されるべき。


    ジャパン
    倉田 精二
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    渡辺克巳とくれば倉田精二を挙げずにはいられない。日本のウィージーと言われたストリートフォトの神髄。都市の殺伐と虚像をこれほど表現した写真はない。

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    奈良原の写真は既に絶版になった朝日新聞社の「昭和写真全仕事」を所有しているが、トラピスト修道院に取材した「沈黙の国」「人間の土地」「消滅した時間」などパースを駆使した知的で静謐な写真は独特の美。「無国籍地」は廃墟をモチーフにした写真集。その圧倒的な画面の構成美を。

    Cui Cui
    川内 倫子
    4902943026
    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


    この間東京都写真美術館で行われた回顧展で再び植田の仕事が再評価されている。砂丘シリーズに代表されるこのモダニズムはいつまでも古びない。

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