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April 18, 2004

『生活』 / 島尾伸三

この間ここで書いた「写真装置」誌の創刊号「戦後写真の転換」では島尾の「生活1979・1980」が巻頭を飾っている。妻と娘、父親と姉、家族と自身の関係性を淡々としかも営々と記録しつづける行為。これは島尾が単なるメモリアリストということでは勿論なく、いわば私小説のようなもの、というよりこれはまさしく写真の体裁をとった私小説そのものだ。
photojapon.jpg家族の日常写真というものは、たとえば戦場での生き死にを記録したフォトジャーナリストの作品となんら変わることなく写真として等価であって、あるいは時としてそれ以上の深さや厚みをもたらすものだ。照片雑文と副題のついた単行本「生活」(みすず書房、95年・写真右)は、この写真装置誌での掲載がきっかけとなってその後10年以上にわたる作品を詩文とともに纏めたものだ(「生活」跋文)。各々の写真にはそれぞれキャプションがついている。これは写真装置の大島洋が掲載時に提案し、当初無かったものを入稿時に加えたとのことだ。この詩的で内省的な一行のつぶやきが日常への祈りにも似た深さを醸している。
同じく「写真装置」12号特集「写真の現在」でのアンケートに島尾は、

なるべく統辞性をなくし、シンボル化しないサインを使用しようとしています。また、観察命題のようなものも、自分の作業からはずしていきたいと思っています。

と語っている。アプリオリに方向性を敢えて与えないということが日常の営為というこの作品の主題を浮かび上がらせているようだ。しかし、娘の真帆ちゃんのなんと可愛らしいことか。
ちなみに、言わずもがなだが父親は作家の島尾敏雄、夫人は写真集「冷蔵庫」で知られる写真家の潮田登久子、そして「生活」では2才頃から中学生までに成長している真帆ちゃんの今は漫画家しまおまほ。また、「生活」の腰巻きは吉本隆明による。

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Comments

はじめまして。とみきちともうします。トラバをたどってお邪魔してみました。こちらのトラバもさせていただきました。島尾敏雄自身の著書を以前から読んでいましたが、伸三氏の著書を実際に手にとってみたのは割合最近ですので、読んだことのあるのは『東京~奄美』と『まほちゃん』のみ。『生活』も未読です。写真や映画に造詣が深くていらっしゃいますね。たまにお邪魔させていただきます。これを機会に今後ともよろしくお願いします。

初めまして、弊blogに訪れてくださり有り難うございます。私も島尾伸三の作品は「生活」の他に同じくみすず書房の「季節風」を読んだだけなんです。でも書評を読ませて頂いてご紹介の本が凄く読みたくなって来ました。いつも思うのですが、ふとしたきっかけで本の縁が広がるのは不思議なことですね。追憶を辿る旅とは素敵なシチュエーションです。ご紹介を有り難うございました。
早速巡回ルートに加えさせて頂きました。

PS. 何故か私のトラバが二重になっているようです。書き直して保存したときに二重に送られたのかもしれません。ご迷惑をおかけします。お目触りでしたら片方削除下さい。

ふと何かに興味を持った瞬間に、関連する情報が目の前に偶然現れたかのように感じることがありますが、それは単に興味のない自分の目に映っていなかっただけということがよくありますね。見えていなかったものが見えてくるには、さまざまなきかっけが必要で、こうした出会いも貴重な出会いの一つだなと感じて、嬉しく思います。

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「照片雑文★★」という副題のついた、写真と文章による生活の記録である。観念的な世 [Read More]

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  • Gangs of Kabukicho.
    渡辺克巳

    097154803X
    新潮社フォトミュゼの「新宿」が絶版となっているなかで最近刊行された渡辺克巳の最新写真集。洋書。



    先般亡くなった路上の写真家、渡辺克巳の写真集。インサイダーとして夜の新宿を流した彼の生の証はその写された人々と共に永く記憶されるべき。


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    倉田 精二
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    渡辺克巳とくれば倉田精二を挙げずにはいられない。日本のウィージーと言われたストリートフォトの神髄。都市の殺伐と虚像をこれほど表現した写真はない。

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    奈良原の写真は既に絶版になった朝日新聞社の「昭和写真全仕事」を所有しているが、トラピスト修道院に取材した「沈黙の国」「人間の土地」「消滅した時間」などパースを駆使した知的で静謐な写真は独特の美。「無国籍地」は廃墟をモチーフにした写真集。その圧倒的な画面の構成美を。

    Cui Cui
    川内 倫子
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    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


    この間東京都写真美術館で行われた回顧展で再び植田の仕事が再評価されている。砂丘シリーズに代表されるこのモダニズムはいつまでも古びない。

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