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March 27, 2004

『美貌の青空』『土方巽 夏の嵐 』 / 土方巽 

渋谷のシアター・イメージフォーラムで映画「土方巽 夏の嵐 2003-1973 燔犧大踏鑑」が今日から上映されるという。いつもながらのレイトショーだが、仕事帰りに食事を済ませて行くのにはちょうど良い時間だ。早速手帖に予定を書き込んでおく。土方をモチーフとした細江英公の写真集「鎌鼬(かまいたち)」のイメージをまず思い浮かべる。

土方巽の舞踏は映像でしか見たことがない。それもほんの一部を紹介したような映像の断片だけだ。だが生の根元を想わせる強烈な肉体表現はその映像の瞬間なりに伝わるものだ。だが、私はその前に土方の書く文章に魅せられてしまった。
bibounoaozora.jpg

写真の「美貌の青空」(筑摩書房、87年)は当時新刊で購入したが、86年の逝去直後に刊行された遺文集である。2部構成となっており、前半が土方の詩文、後半が彼の死に寄せられた追悼文集だ。なお、腰巻きのポートレートはコンセプチュアルな作品で知られる山崎博による。

その冒頭、土方の「犬の静脈に嫉妬することから」は以下のように始まる。


「屋根からころげ落ちたとき、口に碍子をくわえていた。これだけの理由で故郷を追放された男の、あの風呂敷を握った掌のことを考えると、途端に真っ黒こげになってしまう。」
~土方巽「犬の静脈に嫉妬することから」昭和51年

これに続くのは詞華と呼ぶにふさわしいイメージの氾濫だ。詩人ならケレンと言うかもしれないが、これは言葉ではなく彼が舞台で翻転するとき飛び散る飛沫なのだ。これは肉体から生まれて来る言葉、だと思う。

追悼は瀧口修造、澁澤龍彦、唐十郎、池田満寿夫、加藤郁呼、人形師の土井典などこれまた絢爛である。

yaso_ankoku.jpg昔NHKの「日曜美術館」で大野一雄の舞踏を特集していた。ビデオを録っていなかったのが残念だが、土方は大野に衝撃を受けて舞踏家を志したと年譜にある。いつも思うのだが、アートが人から人へと手渡されること、その瞬間を想うと感動してしまう。大野の「私のおかあさん」「ラ・アルヘンチーナ頌」をみながら土方に手渡されたものはなんだろうかとしばし考えていた。

「夜想9 暗黒舞踏 dance review 1920-80」(ペヨトル工房・右)では大野一雄のインタビューを始め、笠井叡、田中泯、山海塾などの特集と、暗黒舞踏を概観できる数少ない資料である。これは2年ほど前に京都の古書店で均一台に並んでいたものを購入したものだ。

映画は来週あたりに行ってみようかと思う。
4月以降は大阪西九条のシネ・ヌーヴォでも上映の予定とのことだ。


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    渡辺克巳

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    川内の作品は柔らかい光と深度の浅いクローズアップなどを多用して日常の「合い間」を独特の色調で表現している。小生の勝手な感覚ではあるが彼女の作品にはどこか「彼岸の匂い」のようなものが感じられてならない。明るく静かな日常。ふと視線を外して見上げる窓の外の空。こよないものたちの空間。この作品は家族の何気ない日常をテーマとした写真集。なぜだろう、頁をめくってゆくたびに胸が詰まってくるのは。


    この間東京都写真美術館で行われた回顧展で再び植田の仕事が再評価されている。砂丘シリーズに代表されるこのモダニズムはいつまでも古びない。

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